HCDコラム

商品やシステム、サービス開発における人間中心設計専門家/スペシャリストの役割とはなんでしょうか? 

人間中心設計サイクルを用いて常にユーザー中心に考えることにより、ユーザビリティを向上させたり、よりよいユーザー体験を実現させたりすることができます。
そんな手法を社外で学んだ人間中心設計専門家/スペシャリストの中には、思い込みで企画書を書きたがる人、とにかく持っている技術を実装したがる人、意匠にばかりこだわる人などを社内で見つけると、分かってないな!外ではそんなやり方は古いと言っている!ダメなプロセスは一新しないといけない!と対抗意識を持つ人もいるのではないでしょうか?

でも、ちょっと待ってください。みなさんが所属しているのは、業績を上げて今まで事業を継続してきた企業です。

きっと企画担当者はユーザー調査をしているだろうし、技術者は使いやすさを考慮しているだろうし、デザイナーはユーザーが利用するシーンを想像しているはずです。そうやって会社を支えてきたのです。

そんな人たちにユーザーのことを考えないといけないよ!と言ったところで、じゃあ今までのやり方をやめて、代わりに人間中心設計というものをやってみようかとはならないでしょう。

対抗するのではなく「こうすればインタビューでもっとうまく聞き出せるよ」「早い時期にこんな評価をすれば手戻りが減るよ」「この部分はデザインで悩まなくても人間の特性上この形がいいよ」と、社内のみんなと一緒に現状やっていることの質の向上にチャレンジしませんか?

インタビュー手法、人間工学、認知科学、ユーザビリティ評価法などなどの知識を活かして、現状100点の活動を120点にするのです。その結果、商品やシステムのユーザビリティが向上し、新しいサービスやUXがうまれる。それをコーディネートするのが幅広い知識を持った人間中心設計専門家/スペシャリストの企業内における大切な役割の一つではないでしょうか。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。