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今年も3月末に多くのHCD専門家、スペシャリストが誕生する。前回のコラムでも高橋理事がその魅力について触れているが、ここでもその専門家像について振り返り、特に新しく専門家やスペシャリストになられたみなさんにエールをおくりたい。
HCD専門家は今年で7期目を迎えたが、1期から一貫してHCDの実務家としてのコンピタンスに基づいて認定してきた。現在のHCD専門家コンピタンス体系図は4層から成る。下から順に「K. HCDに関する基礎知識」、「L. テクニカルコミュニケーション能力」、「A. 基本コンピタンス」である。そして最上位に「B. プロジェクトマネジメントコンピタンス」と「C. 導入推進コンピタンス」が並列に並んでいる。HCD専門家は3層目のAと4層目(最上位)のB、Cを中心に審査しており、受験したみなさんはご存知の通りである。KやLに関しては、認定試験では必須の要求となっていないが、一定水準の知識や能力が備わっていることは大前提と考えている。
HCDの専門家に限らないが実務家にとって、「わかる」、「できる」、「推進する」という段階がある。KはHCDやその関連分野の知識があることで、「わかる」段階。LとAは個々のHCDプロジェクトにおいて実務が「できる」段階。そしてB、CはHCDプロジェクトに関するマネジメントやHCDを組織へ適用・導入するという「推進する」段階である。「わかる」というレベルが十分でなくても、「できる」ことはあるかもしれないが、専門家やスペシャリストにはしっかりとした知識に基づいて「できる」ことが求められる。こうしてみるとBとCのコンピタンスを必要とするHCD専門家と基本コンピタンス(A)だけで認定されるHCDスペシャリストの違いも明確にわかると思う。
HCDスペシャリストは、13のA.基本コンピタンスから6つ以上、発揮できることを証明できれば基準をクリアする。残りの7つ以下のコンピタンスについては「できる」レベルになくても認定可能なわけだが、「わかる」レベルはすべてをクリアしていることが期待される。現在、この「わかる」レベルを認定する検定試験を準備中で、HCD専門家やHCDスペシャリスト認定試験との連携が今後検討されるが、すでに専門家やスペシャリストになられた方は、HCDに関する一定以上の知識があることを再度、確認して欲しい。また、ベテランのHCD専門家においても、常に新しい知識や手法、世の中の動向などを捉えて日々研鑽を重ねることがとても大切と思う、これは自戒の念を込めて…
HCD専門家やHCDスペシャリストは、一定水準の能力を認定されたので、これから自信をもって活動、活躍して欲しい。そして次のプロジェクトや組織の中で、周りから「さすが、”HCD専門家”、”HCDスペシャリスト”!」と認めてもらうことができたとき、そのときが本当の意味での専門家としてのキャリアのスタートである。