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1.審査結果
NPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)が、一昨年から実施している「人間中心設計専門家」資格認定の2011年度(第3期)の審査が完了しました。今年度は、43名の方々が人間中心設計専門家として認定されました。内訳は、HCD-Net正会員6名、一般37名です。昨年度は60名の方々が認定されましたが、今年も受験者数が減っているため、初年度から比べ認定者数も毎年減少傾向にあります。これは、1級資格であるため、それにふさわしい実践経験を持つ方の絶対数が限られていることにあると思われます。
2.審査経緯
今年度は、以下の日程で審査を行いました。
詳細告知 2011年12月1日
募集要項公開 2011年12月20日
申込開始 2011年12月20日
申込締切 2012年1月10日
書類提出締切 2012年1月31日
合格発表 2012年3月31日
今年度も、受験者説明会、審査員説明会を開催しました。審査員講習会は、審査のばらつきをより少なくするためと、審査要領を各審査員により正確に理解しいただくことで、審査精度と効率の向上を狙いにしました。また、受験者向け講習会では、制度の趣旨や認定専門家の役割などを理解していただきました。いずれの会も,数多くの方の参加がありました。
また、今年度は制度に関する広報に力を入れ、Webサイト上で受験者向けに認定者の声を掲載するなど、どのような資格なのか、どのような人が認定されているのかをより理解していただけるようにしました。申請手続きに関してもわかりやすく解説しました。さらに、メディアの協力をいただき、一般の方にも広く告知しました。その結果、前年比減ではあるものの、当初の見込みを大きく上回る受験者数となりました。
認定に必要なコンピタンスに関しては、昨年度と同様に「ユーザビリティエンジニアリング能力」「HCD適用・開発能力」の各コンピタンスから7項目以上、「プロジェクト・マネジメント能力」から2項目以上を必須としました。加点項目としての関連知識やテクニカルコミュニケーション能力に関しても昨年度と同じ扱いにしました。
3.審査過程における課題
昨年の課題を踏まえ、今年度も1人の受験者に対して、複数の審査員(認定人間中心設計専門家)が厳正な審査を実施しました。最終的には、専門資格判定委員会において、各審査委員の審査基準の判断の揺れや審査コメントに個別に対応いたしました。
今年度の審査過程で主に話題になったのは、実践経験の判断とコンピタンスの実証の再現性です。実践経験に関しては、記述からは実務経験が十分でないと判断されるケースが多く見受けられました。この制度では、受験資格を原則5年以上の実務経験をされている方としていますが、この基準をより厳密にしてゆく必要があると思われます。一方で、審査の参考資料である「プロジェクト記述書」を見ると、十分な実践経験があると思われるのに、審査対象である「コンピタンス記述書」の記述が不十分で、コンピタンスが読み取れない方もいました。また、記述されている対象プロジェクト数が少ないケースがあり、コンピタンス実証の再現性が保証できないと判断されることがありました。
従来からも課題になっていた、記述の内容からは本人が実践していることがわからない事例、対象プロジェクトが異なるのに実践内容の記述にコピーアンドペーストが多く、審査員の心証を悪くする事例などが散見されました。書類審査方式で、記述されていることからしか判断できないこの制度においては、各コンピタンスを正しく理解しておらず記述内容が異なるケースもあるなど、申請者の理解と書き方の十分な注意だけでなく、よりわかりやすい説明も必要であると思われました。
4.来年度以降に向けて
冒頭でも述べましたようにこの制度は1級相当の資格として「認定人間中心設計専門家」と2級相当、3級相当の資格で構成されています。人間中心設計に関わる専門家の数が限られている現状では、1級相当の資格だけでは認定者の暫減傾向は避けられません。できるだけ早く、2級・3級相当の資格認定制度を立ち上げる必要があります。現在、2級相当の資格は、ユーザビリティエンジニアリングのコンピタンスに特化した資格として「ユーザビリティプロフェッショナル」(仮称)、3級相当の資格は、人間中心設計の基礎知識を問題形式として問う「ユーザビリティ検定」(仮称)として想定しています。1日も早く体系的な認定制度としての確立を目指してゆきたいと思いますので、皆さまのご理解、ご協力を今後ともよろしくお願いいたします。
5.お願い
本資格は、HCD-Netが人間中心設計実践において定めた一定の基準を充たしたことを認めるものであり、資格を認定された方は、今まで以上に人間中心設計の実践に励まれるとともに、啓蒙普及にご尽力いただくようお願いいたします。
また、今回基準に満たなかった方々も、人間中心設計専門家またはそれに準ずる資格に認定される方々ばかりと認識しておりますので、なお一層の実践を通したスキルの獲得、知識の習得により次回以降の積極的な申請を心よりお待ちしております。
初年度に資格を取得された認定専門家の方々は、今年で3年目になります。この制度は、3年ごとに資格を更新する仕組みになっています。人間中心設計分野での実践、知識の習得などを通じて、更新時に必要なポイントを獲得し、継続して資格を維持できるようお願い申しあげます。
最後になりましたが、審査にあたり認定人間中心設計専門家の方々にご協力をいただきました。改めて御礼申しあげます。
2012年4月
NPO法人人間中心設計推進機構
規格化/認定事業委員会
NPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)が、一昨年から実施している「人間中心設計専門家」資格認定の2011年度(第3期)の審査が完了しました。今年度は、43名の方々が人間中心設計専門家として認定されました。内訳は、HCD-Net正会員6名、一般37名です。昨年度は60名の方々が認定されましたが、今年も受験者数が減っているため、初年度から比べ認定者数も毎年減少傾向にあります。これは、1級資格であるため、それにふさわしい実践経験を持つ方の絶対数が限られていることにあると思われます。
2.審査経緯
今年度は、以下の日程で審査を行いました。
詳細告知 2011年12月1日
募集要項公開 2011年12月20日
申込開始 2011年12月20日
申込締切 2012年1月10日
書類提出締切 2012年1月31日
合格発表 2012年3月31日
今年度も、受験者説明会、審査員説明会を開催しました。審査員講習会は、審査のばらつきをより少なくするためと、審査要領を各審査員により正確に理解しいただくことで、審査精度と効率の向上を狙いにしました。また、受験者向け講習会では、制度の趣旨や認定専門家の役割などを理解していただきました。いずれの会も,数多くの方の参加がありました。
また、今年度は制度に関する広報に力を入れ、Webサイト上で受験者向けに認定者の声を掲載するなど、どのような資格なのか、どのような人が認定されているのかをより理解していただけるようにしました。申請手続きに関してもわかりやすく解説しました。さらに、メディアの協力をいただき、一般の方にも広く告知しました。その結果、前年比減ではあるものの、当初の見込みを大きく上回る受験者数となりました。
認定に必要なコンピタンスに関しては、昨年度と同様に「ユーザビリティエンジニアリング能力」「HCD適用・開発能力」の各コンピタンスから7項目以上、「プロジェクト・マネジメント能力」から2項目以上を必須としました。加点項目としての関連知識やテクニカルコミュニケーション能力に関しても昨年度と同じ扱いにしました。
3.審査過程における課題
昨年の課題を踏まえ、今年度も1人の受験者に対して、複数の審査員(認定人間中心設計専門家)が厳正な審査を実施しました。最終的には、専門資格判定委員会において、各審査委員の審査基準の判断の揺れや審査コメントに個別に対応いたしました。
今年度の審査過程で主に話題になったのは、実践経験の判断とコンピタンスの実証の再現性です。実践経験に関しては、記述からは実務経験が十分でないと判断されるケースが多く見受けられました。この制度では、受験資格を原則5年以上の実務経験をされている方としていますが、この基準をより厳密にしてゆく必要があると思われます。一方で、審査の参考資料である「プロジェクト記述書」を見ると、十分な実践経験があると思われるのに、審査対象である「コンピタンス記述書」の記述が不十分で、コンピタンスが読み取れない方もいました。また、記述されている対象プロジェクト数が少ないケースがあり、コンピタンス実証の再現性が保証できないと判断されることがありました。
従来からも課題になっていた、記述の内容からは本人が実践していることがわからない事例、対象プロジェクトが異なるのに実践内容の記述にコピーアンドペーストが多く、審査員の心証を悪くする事例などが散見されました。書類審査方式で、記述されていることからしか判断できないこの制度においては、各コンピタンスを正しく理解しておらず記述内容が異なるケースもあるなど、申請者の理解と書き方の十分な注意だけでなく、よりわかりやすい説明も必要であると思われました。
4.来年度以降に向けて
冒頭でも述べましたようにこの制度は1級相当の資格として「認定人間中心設計専門家」と2級相当、3級相当の資格で構成されています。人間中心設計に関わる専門家の数が限られている現状では、1級相当の資格だけでは認定者の暫減傾向は避けられません。できるだけ早く、2級・3級相当の資格認定制度を立ち上げる必要があります。現在、2級相当の資格は、ユーザビリティエンジニアリングのコンピタンスに特化した資格として「ユーザビリティプロフェッショナル」(仮称)、3級相当の資格は、人間中心設計の基礎知識を問題形式として問う「ユーザビリティ検定」(仮称)として想定しています。1日も早く体系的な認定制度としての確立を目指してゆきたいと思いますので、皆さまのご理解、ご協力を今後ともよろしくお願いいたします。
5.お願い
本資格は、HCD-Netが人間中心設計実践において定めた一定の基準を充たしたことを認めるものであり、資格を認定された方は、今まで以上に人間中心設計の実践に励まれるとともに、啓蒙普及にご尽力いただくようお願いいたします。
また、今回基準に満たなかった方々も、人間中心設計専門家またはそれに準ずる資格に認定される方々ばかりと認識しておりますので、なお一層の実践を通したスキルの獲得、知識の習得により次回以降の積極的な申請を心よりお待ちしております。
初年度に資格を取得された認定専門家の方々は、今年で3年目になります。この制度は、3年ごとに資格を更新する仕組みになっています。人間中心設計分野での実践、知識の習得などを通じて、更新時に必要なポイントを獲得し、継続して資格を維持できるようお願い申しあげます。
最後になりましたが、審査にあたり認定人間中心設計専門家の方々にご協力をいただきました。改めて御礼申しあげます。
2012年4月
NPO法人人間中心設計推進機構
規格化/認定事業委員会