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ショートコラム Vol.111
ものを購入することに関しては、ECサービスの充実により、自宅に居ながらにして、パソコンやスマートフォンの画面で比較検討や申し込み、発送状況の確認などができるようになりました。全般的にはまだ発展途上の段階ではありますが、パソコンやスマートフォンで完結する範囲では、HCD関係者のご努力にも支えられて、10年前に比べれば一般利用者にとって使い勝手の良いECサービスになってきていると感じます。
ただし、利用者にとってのECでの購入体験は、画面で見ることができる範囲だけではありません。何時頃商品が到着するのか、どのような荷姿で送られてくるのかなど、「画面」以外の要素が大きく影響しているように思います。例えば配送時に箱が破損していて、残念な思いをした方も少なくないのではないでしょうか。
このような物流をはじめとする「画面」以外の要素がショッピング体験の満足度に大きな影響を与えていると感じます。
今後はショッピング体験の外縁部分とも言えるところをシームレスに改善し、それを補完するような仕組みをシステムとして設計していく必要があるでしょう。通信販売で商品を購入した人からすれば、コンピュータ画面との対話だけではなく、配送業者の人から商品を受け取る際の言葉のやりとりまで含めて、ユーザーインターフェースであるからです。
満足度を大きく左右するにも関わらず、IT業界で軽視しがちで、属人的になりやすいこのあたりが、今後のECサービス差別化のポイントになるような気がしています。このような部分にこそ、HCDの方法論が満足度向上に役立つのではないでしょうか。