HCDコラム

ショートコラム Vol.116

  今回、自社内のある業務について、実務者の暗黙知や、その業務の価値を「見える化」する目的で、「バリューグラフ」を試してみました。

  「バリューグラフ」は、ある製品・サービスなどのコンセプトや機能を起点に、下位に向かって「具体的にどのように実現するか」を拡げていき、上位に向かっては 「そもそも何の目的のためか」を掘り下げて明らかにしていくワークショップ手法です。また、「見える化」された目的に対して「代替案の発見」にも有効です。

  事前の準備として、どのようなアウトプットが出ると良いか想定し、議論の流れを考えてファシリテーションのスクリプトを準備。起点がアウトプットの質を左右するように思えたので、起点のレベル感をそろえる工夫を盛り込みました。結果としては、暗黙的だった業務の輪郭が見え、その目的・価値について活発な議論ができました。

  HCDのプロセスでも、製品やサービスの現状把握や、要求や設計を導出する際のツールとして有効と思います。

  ワークショップの手法も「道具」なのでクセもあり、使いこなし、より高い品質のアウトプットに向けてファシリテートするには経験が必要です。今回、社内だったので参加者のサポートも得ながら、良い経験になりました。普段から、積極的にこうした試行を行っていければとも感じました。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。