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ショートコラム Vol.119
家族がお世話になっている病院へ、1月と2月は通いました。その病院は設備が新しく、24時間365日の急患受け入れを行い、屋上にヘリポートがあり、コントロールセンターの名前がついた手術施設はまるで航空機の管制塔のようであり、「世界基準の専門医療」の言葉がホームページにあります。
ベッドごとの移動が考えられた導線設計、まぶしすぎない病室の照明、病身の患者さんに配慮された空間設計、病気の治療という目的に沿った機能的なつくりの医療施設です。
ICUから一般病棟へ移った家族を見舞ったときのことです。窓際のベッドの患者さんに移動して欲しいと看護師さんがお願いしています。すると「嫌だよ。今日この窓から夕日を見るのが楽しみなんだ。」とその患者さんが応じ「そうだよ、そうだよ。移動することないよ。」とお向かいの患者さんが加勢するという場面にでくわしました。ちょうどその直前に「今日も夕日を見るのが楽しみなんだ。」という家族の言葉を聞いていたので、目を見合わせ、思わず笑ってしまいました。
いつのまにか、夕日を楽しみとすることを共有していた病室のひとたち。治療という目的と、できるだけ普通の生活に戻りたいという願いがある中で、人の心が求めるものを考えさせられる出来ごとでした。