HCDコラム

最近のナビゲーションシステムはとても優秀で、便利になった。しかしまだまだ不満を感じることも多い。今回はナビの課題に関する身近な体験エピソードを紹介する。
少し前の日曜日、大勢で御殿場方面にレジャーに行った帰りのこと。車4台に分乗し、東名高速道路の横浜青葉IC方面へ向かって帰路についた。週末の東名上りは毎週末大渋滞となるので、ひとりが小田原厚木道路経由を提案し、私が乗った車(A車)を含め3台がそちらのルートを選択した。1台(D車)だけは大井松田ICからの東名ルートを選択し、どちらも伊勢原付近まではなんとか順調だったが、東名で2か所の事故もあり、案の定、渋滞にはまってしまった。

早速Google Mapのナビで最短ルートを検索したところ、一般道の方が1時間以上早く到着とのこと。一般道はドライバーの運転負担もあるので、運転に関する嗜好も確認、協議して、結局降りることを選択した。ただこの到着時間というのが、結構変化する。厚木西ICで降りて一般道を走る予定だったが、途中で圏央道に乗った方がかなり早いとのこと。私のA車はこのナビに従った。そして他の3台はというと・・・時々刻々と助手席からLineで状況報告があり、それをお互いに見ながらのルート選択は結構楽しめた。B車はA車と同じく厚木西ICで降り、その後は圏央道を使わず、ずっと一般道を選択。C車は厚木から渋滞している東名高速に突入。D車はずっ~と渋滞している東名高速を維持。特に申し合わせたわけではないが、4台とも異なるルートを選択し、なんと結局、到着時間はほとんど変わらないという結末だった。

今回はナビの情報に加えて、4台の車がそれぞれの道路状況を伝えあってルート選択の意思決定の参考にしたが、一番欲しい情報は現在だけでなく、未来の渋滞状況であることがわかる。一般道の方が1時間以上も早く到着することを知れば、多くの車がそちらを選択し、その結果、東名高速ルートの到着時間に影響を与えることとなる。未来予測や推定はシミュレーション等を利用しすでに広く行われてはいるが、HCD活動においては現在(ある時点)の最適解を求めることが多い。ナビゲーションのように人の行動を誘引するデザイン(例えばサインシステムや広告・宣伝なども)はもちろんであるが、いろいろな側面で未来を意識する必要性を再認識した。7/23に開催されるHCD-Netフォーラム2017ではこのようなスマートモビリティに関するUXデザインの紹介が予定されている。モビリティ分野以外のみなさんにも参考となる内容となっているので、是非、参加をご検討ください。
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