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前職のコンサル会社から、業界ベテラン(?)として経験したことを色々伝えて欲しいと言われ、この4月からUXデザインの基礎をオフィスで教えることになりました。江戸時代に実用性を重んじる商人の子弟が読み書きそろばんを学ぶ寺子屋に習って、UXデザインを実用的な観点で広く(浅く)教える、UXD寺子屋として毎週開催しています。
主な目的はUXDの概要と人間中心設計手法の基本解説の二つを、UXデザイナーを含めて広く啓蒙することであり、実際には戦略系のコンサルから調査統計、エンジニアなどの専門家、入社したての新人など数人ずつを教えています。教えるとはいっても、分野も背景も違う彼らにわかりやすく理解してもらうために、基本の資料は用意しながら説明するポイントは相手に合わせて毎回柔軟に変えています。
まだ10回程度の開催ですが、コンサルの人たちに思いの外「ある、ある!」と受けるのが、以下のUX、クリエーター系の人の考え方です。
1. 何かとこだわりがあり、相手にリスペクトを求める
2. 考え方に源流やコンセプトを求める(単なる理屈とは違う)
3. 常に新しいことを考えなくてはいけない強迫観念がある
4. 上下のないグループでディスカッションは普通のこと
5. 論理的な矛盾より、見た目のバランスや感覚を好む
6. アイデアスケッチやモックアップなどはやり取りの基本
2と5は、コーポレート戦略検討でコンセプトビデオを作ったコンサルから、なるほどそういうことかと激しく同意をされたこともあります。コンサルは常にクライアントに筋道立てて説明する必要から、なんでも整合性や合理性を強調する習性がありますので、クリエーターと同じ物事の捉え方にギャップが凡にしてあります。
それを前提にして、例えば今までにない課題解決を求められた時、A+B=C、A+D=Cならば、論理的に間違いがないとしてB=Dと即断するコンサルのロジック耐性をベースに対し、別な物の見方で、そもそも中身や本質に違いがあるからBとDと表記したのではないか?としてBとDを定性的に検討し、各々本質や提供価値の違和感に基づき、D=B’やB=D+αなど、自由な思索の展開によって、オーソドックスなコンサルの仮説検討アプローチに一味加えるのが新しいと考えられています。
実は、コンサル業界ではこのオルタナティブな考え方が、新しいビジネス課題の解決法として、戦略にプラスUXのもたらす可能性として色々なファームで取り組まれています。