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UXというのは顧客の経験のことですが、それにライティングという言葉がついた「UXライティング」という仕事が注目されています。UXデザインとどう違うのか、日本ではまだ理解が深まっていません。また一般にデザインが"視覚的な力"を用いて訴求するのに対して、UXライティングは、新たに生み出す顧客の経験を"言葉の力"で伝え・訴求する仕事をする人です。ユニバーサルデザインにおいてハプティカル(触覚的)な要素も含めたデザインや、3Dタッチやオーディオトーンのフィードバックなどのインタラクションのデザインなどもありますが、ギャレットの5段階モデルでいうSurfaceの部分は、主に外観的な審美性に軸足を置いています。グラフィカルユーザインタフェースというように…
ところが、社内外を説得したり訴求したりする段階で、良いコピーライティングが生み出せない、端的に価値を伝えられない、など困る場面も多々ありました。GoogleやAmazon、Dropboxなどでは、テクニカルライターではなくHCD/UXDを理解したライターという意味で「UXライター」を募集する動きがあります。
ライティングというのは「言葉のデザイン」ともいうべきものです。UXをデザインする時、新しい経験の価値とか魅力を直接伝える(ストーリーテリングする)言葉は絶対に必要で、その役割を担うのはライターです。単なる文書表現やコピーライティングというだけに留まらず、UXの理解に基づいて経験のコンテンツを的確に伝えるライティング。言語学で言うところのシニフィアン(記号表現)を扱う人とも言えるかもしれません。サービスを語る言葉は「テクスト」であり、それ自体に意味を持つものです。「濃密うるおい肌」という言葉に、<非常にクリーミーでしっとりモチモチの肌にしてしまう魔力>を感じたりするわけです。UXにはこの様な言葉のデザインが必要です。これは寧ろ企業の中において有効なものであり、デザインの価値を伝え社内で共感を得たり、コンセプトのブレを無くしたり、ストーリーテリングしたり、最適なシナリオやユースケースを描いたり、あるいはデザイン仕様書を書いたりします。言葉が必要なシーンは多々あります。そのような場面においてUXライターの役割が求められるのだと思います。