HCDコラム

先日、高尾山薬王院の瀧行道場で、瀧に打たれて参りました。
参加者は老若男女25名程で、白の下着を着用し白の行衣をお借りして着替えます。腕時計や指輪など一切外し、スマホ持込や撮影も禁止です。

はじめに導師から修験道の宗教観の教えを受け、修行中は私語や笑顔で歯を見せたりするのは厳禁で、金剛拳という手の形をつくり常に腰に当てておくことなどを習います。
瀧の危険性も教わり、下手に頭で瀧を受けると意識が飛んでしまい岩場に転ぶと大怪我になるなど注意も受けます。

そして、瀧行の作法を教わります。本来はより細かい作法や覚えるべきお経もあるそうです。

塩を右足・左足・右腕・左腕・頭の順に擦りこむ→塩を口に入れ清める→権現のお名前を唱えながら瀧の冷水をバケツで右足・左足・右腕・左腕・頭の順にかぶる→瀧壺への結界をくぐり一礼→瀧を拝みながら五体投地(両膝・両肘・両手の甲・額の順に地面に付け伏せる)を3回する→右足・左足・右腕・左腕の順に瀧を当てる→両手を握り合せ腕を前に出し徐々に瀧を肩に当てる→権現のお名前を大きな声で唱えながら瀧に打たれる→目の前の導師の祈祷が終わったら瀧を出る→戻る際に瀧壺脇の仏像毎に手を合わせる
これを一度練習したらすぐ本番です。

私は、作法の順序を守ることや瀧の衝撃の強さに耐えるのに無我夢中で、なにかを感じとるような余裕はなかったです(笑)。でも、終わってみると心が晴れ身体が軽くなった気がしまして、得難い体験をした実感が残りました。導師曰く、瀧行で得られる気持ちは人それぞれで、それでよいとおっしゃっていました。

さて、最後に少しHCD的な話を。

この瀧行体験は、本来の修験道の難しい作法を簡略化しつつも、安直な修行にはならないように考えられていると感じました。初心者でも短時間で、精神面を鍛えられる感覚や肉体面の限界を感じる修行としての神髄の一端を体感できる構成になっていたと思います。
 恐らく昔から数多くの参加者を受け入れるなかで、導師は座学・練習・本番の構成内容について、ここを厳しくすると完遂できない人が出るとか、ここを略しすぎると甘い修行になるなど反復的な改善があって今に至ったのではと。

瀧行をワークショップやスキルトレーニングに重ね合わせるものなんですが、仕事柄そのようなプログラム構成や、参加者に合わせた難易度とゴール設定、時間配分など都度改良しており、なにか共通点を感じたのでした。


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