HCDコラム

私は13年間UIデザイン、ユーザビリティ評価の仕事に携わってきました。HCD専門家の認定を取得して5年になります。
現在、私は一旦HCDの現場からは離れた仕事に就いています。今はほぼ一般ユーザー側になって日々の業務を行っています。業務は事務的な仕事が多いのですが、いままで使う機会がほとんどなかった製品(SOHO向けのプリンター複合機)で日々プリント、コピー、スキャンを使っています。今まで職場で使っていた製品(オフィス用複合機=MFP)の長年の先行経験が影響して、操作方法に手こずることがあります。私がやろうとしていることが決して特殊なタスク内容ではないと思うのですが、試行錯誤している時間もありませんので「今までできていたあの操作はこの製品ではできないのだろう」と諦めます。ちなみにその製品は前職の仕事でユーザビリティ評価をしたこともあったので、ドライバーも本体もUIそのものは一通り見た経験はあるし、そんなに使い勝手が悪い印象を持った記憶もありませんでした。そして毎日使い込んでいくうちに、(一応UIに関わってきた意地もあるので)こうすれば使えるのかということもやっと分かってきましたが、「このUIってこんなに使いづらかったかな?」と感じる場面が積み重なり、一般ユーザーになってみたらユーザビリティに対する印象や満足度が下がってしまいました。
ユーザビリティ評価はその製品を毎日使っているユーザーに比べたら操作する時間も少なく、その中で一気に操作を体験して評価をするので、長期的な利用に対して使い勝手やユーザーの満足度にどのように変化があるのかを予測するのは難しさもありました。良い評価方法がないかクライアントから相談を受けた事も多くありました。長期的な利用に対するユーザビリティの評価はHCD専門家の立場として考えていきたい課題です。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。