HCDコラム

私はスキーが好きで,特にフリースタイルスキーの一つであるモーグルがとても好きです。フリースタイルスキーには、競技とエクストリームスキーの二つの側面がありますが、その間にはHCDの研究と実践と似た対比があると感じています。

片や評価の環境や基準を標準化して、技術を得点で比較するスポーツ。片や、得られた環境に合わせて工夫を凝らして技を決め、より人を驚かせて感動させることを目指す遊び。何を高く評価するかについて共通する価値観が根底には流れていると思いますが、その評価方法は対照的です。競技では客観性と再現性の価値が高く、評価は要素還元的です。

モーグルでは、ターン点60%、エア点20%、スピード点20%の合計点で総合得点が算出されます。これに対してエクストリームスキーでは、主観的で一過性で、評価はholistic(全体的)です。ビデオ撮影をしたものを公開するなどして、より多くの人から反応があることで評価が高まります。

HCDの発展には、研究と実践の両方が重要です。その間の関係は既に様々な視点で語られていますが、その評価の仕方について要素還元な視点と全体的な視点の両方を意識する必要があるのではないかと常々感じています。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。