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昨年末SNSのフィードを眺めていた時、ふと気になる商品を見つけて思わずクリックした製品があります。サンコーというメーカーが出している「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」です。
この炊飯器はお弁当箱の形をしていて、お茶碗一杯分のご飯がたった14分で炊き上がるという特徴があります。14分でご飯が炊けると、服を着替えたりお風呂に入っている間にご飯が炊き上がってしまいます。これなら平日夜中に帰宅してからでも毎回ご飯を炊こうという気持ちになると思いました。しかも弁当箱の形をしているので、ご飯をお茶碗に装う手間もありません。普通の炊飯釜に入ったご飯を直接食べるのは抵抗がありますが、お弁当箱の形をしているため抵抗なく直箸でご飯を食べることができます。食器にご飯を装う手間が省け、洗い物も減らすことができるのです。
一見ニッチな製品に見えますが、発売2日で完売したというところをみると、このコンセプトを支持しているお客様がいることを示しています。尤も、単身世帯が3割を超える世の中なので、一人暮らし用炊飯器は最早ニッチではないのかも知れませんが。
この製品は、HCDの観点から見ても優れた製品だと思いました。製品スペックだけを考えて単身者向けの炊飯器を企画すると、単にコンパクトな炊飯器になってしまうでしょう。しかし、ターゲットユーザーの「おひとりさまの食生活」にまつわる課題や、そこから想起されるシーンを元に製品を企画することによって、すぐにご飯が炊けて、直接ご飯を食べることができる弁当箱タイプにするといったアイディアにつながっているように感じました。この製品のウェブサイトにユーザーシナリオが載っているので興味のある方はご覧ください。AS-ISとTO-BEの両方のシナリオが製品訴求のコンテンツとして掲載されています。
ユーザーの利用状況を理解するということは、HCDプロセスの最初のステップですが、このステップでいかにユーザーの本質的な課題を発見するか、それを解決するアイディアを出せるかが大事だということを気付かせてくれる製品でした。