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私はNTTコミュニケーションズ㈱の新事業組織でビジネスデザイナーとして働いており、社内スタートアップの立ち上げや、オープンイノベーションの推進を行っています。日々あくまでもビジネス的価値を生むことに重きを置きつつ、リサーチ、プロダクト開発、事業の価値検証を行うような文脈で、HCDに基づいた評価をしています。
さて、説明は不要かと思いますが、新型コロナウイルスCOVID-19は社会に大きなダメージを残しており、私たちの生活を一変させました。人々の物理的な接触はデジタル上での接触に置き換わり、デジタルに置き換えれない集会・興行・ハコモノ系は尽く延期・中止になりました。
この騒動では特に、「物理的接触をなるべく遮断する」という人類の共通目標・制約が生まれたため、「デジタル上での体験価値」が重要性を増しているように感じています。そして「リモートで何かをする」というユースケースに対して、使いやすかったものはより便利に、便利だったものはより意味を感じるものに、あらゆる体験が熾烈に競い合い、UXピラミッドを駆け上がっているように感じます。
例えば在宅勤務を例に取れば、みなさんも「なるべく使いやすいコミュニケーションツールを使う」という基準でプロダクトを選定しているのではないでしょうか。メッセージング、ビデオ会議、ホワイトボード等様々な用途のプロダクトが日々アップデートされており、中でも使いやすく、更に利用体験を通して意味を感じたり、好きになったりしたプロダクトを選んでいることと思います。
また、今までは例えば仕事上で持ち運べないハードウェアが絡みだした途端、リモートでの作業は崩壊していました。しかし物理的制約の元でも「リモートで何かをする」ための新たなアイデアが世界でローンチされ始めています。特に中国の家から一歩も出なくても良い市場が凄まじく、体験価値を向上するための新たな製品が、まさに人間中心に作られています。
「遠隔運転による無人物流」
「自律ロボットによる無人清掃」
「オンライン教育と顔認識出席管理」
「リモート診察、薬の配送」
「タレントが家から配信するテレビ番組」
「化粧をしなくてもビデオ会議で顔を出せるAR美顔」
中国企業のニーズ汲み取りからプロトタイピングまでのスピード感とバイタリティには本当に目を見張るものがあります。
既にアフターコロナも議論され始めておりますが、これだけの経済的・社会的損失に対して自分のプロダクトや事業がどう貢献できるかというのは改めて考えさせられましたし、今後何かしらアクションを取っていきたいと考えています。みなさまも、くれぐれもお体にお気をつけください。