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新型コロナウイルス禍の中、皆さまにおかれましても、大変な日々をお過ごしのことと思います。
現状では、何よりも皆さんご自身やご家族の安全を確保するとともに、毎日の生活の中で過度なストレスをためることなく、一定のリズムと平静な気持ちを保つことが何よりも大切です。この状況は必ずどこかで収束するには違いないものの、予想以上に長引いてしまう可能性もあります。そのため、こういった安全や健康のためのコントロールも長期戦となることを覚悟しなければならないでしょう。
こういった激動の最中、当機構も新しい事業年度を迎えることになりました。何よりも大きな変化は、昨年度に合格した新たなHCD-Net認定のHCD専門家およびHCDスペシャリストを迎えることで、HCDの資格保有者の数が一気に延べ「約1,200名」へと急増したことです。このことは、市場においてこれまで以上にHCD関係者への期待やニーズが高まっていることの証と言えます。
しかし、この災禍の中で、当機構の活動もさまざまな制約を受けざるを得ない状況に陥っているのも事実です。そのため、当機構の大きな特徴でもある専門的な知識やスキルを学び合う場としての「セミナー」や「勉強会」、「各種の会合」も急ピッチでオンライン開催にシフトするなど、この機運の火種を絶やすことのないよう、各事業部や委員会の皆さんの努力が続いています。そして現在、当機構の理事会では、こういった状況下でのさまざまな活動を支援しながらも、当機構を更なるステージへと引き上げることを目指して、あらたな中期目標を掲げて前に進もうとしています。
ここでは、その新たな目標の柱の1つである『各種業界や各種組織における「HCD専門職」としての地位の確立』についてご紹介します。
元来、「専門職(profession)」とは、「生計を立てる手段」であると同時に「正式な知識をもたらすエージェント(代理人・仲介者)として機能すること」を指しています。そして、「専門職」の業界的な地位を確立するためには、特定の「職業の出現」から始まって、現在のような「専門職者団体の設立」や「職業訓練校の確立」を経て、「正式な知識体系の確立」や「倫理規範・綱領の確立」といったステップが必要です。そのことから、この目標の実現を目指して、私たちの専門的な知識や技能がより広範な領域の基盤にあることを証明するための「知識体系の確立と発信」と、新たに「倫理綱領の議論と確立」に向けた活動を開始していくことになりました。
一方で、「専門職」としての確立を目指す私たちの知識や技能とマインドセットは、市場の変化に対峙する中にあってこそ、その真価を発揮していくものではないでしょうか。それは、変化の中で活かすことのできる製品やサービスに役立つだけでなく、変化に対応できるような解決策や未来に向かった計画を創り出す上でも、おおいに貢献し得るものであるに違いありません。
そこで、昨今のまさに「厄介な問題」に直面する日常の中、そして、従来からの枠組みや意味の問い直しを迫られる環境下にあって、私たちのもつ技能やマインドセットを充分に活かして新たな日常を切り拓いていくことこそが「HCD専門家としての矜持(きょうじ)」と自分に言い聞かせながら、立ち向かっていきたいと思います。