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私は、普段、主に企業内の学習環境導入や集合研修やeラーニング等のカリキュラムの企画、設計などの事業に携わっています。個人や組織のパフォーマンス向上のため、如何に学びをデザインできるか、HCDの知見を盛り込みつつ、学習しつつ、試行錯誤の日々を送っています。
さて、昨今、新型コロナウイルスによって、個人ばかりか経済にも大きな影響があることは、言うまでもないかと思います。教育関連の領域、業界においても、ご多分に漏れず非常に厳しい状況が続いております。
集合研修サービスを中心としていた事業者の多くは、現状、予定講座やイベントの開講もできず休講状態であり、今後の生き残りをかけて、オンライン研修などに軸足をシフトしています。
ただし、開催形態をあまり検討せずに、実際にリアルな教室での研修を、そのまま、オンライン化しようと試みるケースが多く、結果的に、うまくいかないケースも散見されています。
集合研修では、当たり前にできていたことが、オンラインでは多くの制約が出てきます。例えば、対面で相手の表情、反応などを見ながら、次の課題を与えていくという進め方は、オンライン上では難しい面もあります。
かたや、オンライン会議ツールは、ビデオ映像やメッセージのやり取り、また画面やホワイトボード共有など盛りだくさんの多機能であり、多くのITベンダーが製品開発に取り組み、その技術進化は日進月歩です。
しかし、本当に相手に伝わる、理解してもらえる講義をオンライン上で実施できるかは、また、別な視点が必要だと考えます。
話は変わりますが、古くから、学びの場、効果的な学習教材を作成するためのプロセス・考え方としてインストラクショナルデザインという技法があります。
インストラクショナルデザインは、学び手となる学習者を中心におくことがベースにあり、この点は、HCDと非常に似ていると思います。
個人・組織の目標を明確化し、対象となる学習者の前提状態を見極め、様々な制約の中で、どのようなカリキュラム、手法で「学び」を導いていくかは、集合研修のみならず、オンラインにおいても大切だと思います。
メディアでの影響か、オンラインイベント、オンライン飲み会?ばかりが着目されがちですが、今の時期こそ、新しい生活様式での「オンラインの学び」をしっかりと組み立てる必要があると感じています。
社会情勢に流されがちになりますが、私も改めて本質を見据え、できることから一つ一つ、取り組んでいきたいと考えております。