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私は経営コンサルティング会社で、サービスデザイン手法を用いたサービスや顧客体験開発と事業開発を顧客企業と日々取り組む一人のコンサルタントです。今日は字数の許す限り「プロトコル」を切り口に、HCDコミュニティの皆様と共によりよい社会をデザインしカタチにしていく仕事についての思いを共にできればと思います。
なぜ、今回担当させて頂くコラムに「プロトコル」というテーマを選んだのか?
それは、HCDで仕事をする私達には、まだたくさんやれることがあり、人間と技術と自然の関係性が変わるこの時代を皆様と共創し、その過程を楽しみたいからです。
そもそも「プロトコル」とは何か?
Wikipediaでは - プロトコルまたはプロトコールとは、複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順について定めたもの。もともとは「人間同士のやりとり」だけに関する用語であった。(中略)日本語に意訳した語としては、「仕様」「規定」「議定書」「儀典」などがある。 - と定義されています。
私達HCD実践者の間では、この「人間同士のやりとり」はHCDやサービスデザインやデザイン思考の「プロトコル」としてほぼ共通的な手順です。しかし、ビジネスにおける現場では異なる「プロトコル」を持つ人々との仕事が常です。文化、産官学の立場、組織内の役割、個人の専門性、テクノロジー・プッシュとマーケット・プルの思考等、それぞれプロトコルが異なります。それがプロジェクトの現場です。さらには、現代社会の最大のプロトコルたる「資本主義」も、本来アダム・スミスが世に問いたかったであろう「道徳感情論」で論じられた「共感」や「他者の目」を重んじる社会システムへと徐々に変わっていくのかもしれません。
この多様なプロトコルの社会において、私は、HCDという「人を起点とした創造的課題解決」のプロトコルで仕事をすることに誇りを感じています。それは、今、国際社会が目指す持続可能性の中で、人と技術、人と自然の関係性をよりよいものへシフトさせていく、そんな大きな仕事に通ずるからです。つまり、これからの国際社会が求める不可欠な専門性だと思うのです。
私達が新たなプロジェクトを始める時、HCDの「プロトコル」を押し付けるのではなく、他のそれを包摂し、人を起点に考えデザインする事の意味と大義への共感こそが大切になるのではないでしょうか。この1,000文字がHCDの今後のさらなる発展の一助となれば幸いです。