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常々、まったくHCD(人間中心設計)を知らない人にHCDを説明することの難しさを感じています。古典的なプロダクトアウト思考の方々にとってはHCDは異質な方法論と感じられるようです。プロダクトアウト思考の方々にもわかりやすい説明方法をいつも考えています。
HCD-Netでは、HCDを『HCDとは、モノ・コトに対して「利用者視点」と「共創」によって、「問題の設定」と「解決策の探求」を「繰り返すこと」を中核としたさまざまな領域に適用できる「方法(基本プロセス+手法)」と、その実践の前提となる「捉え方・考え方(マインドセット)」のこと』と説明していて、よくできた説明だとは思いますが、できればもっと簡潔でわかりやすい説明が欲しいと思っています。
私の考えた説明の中では、『HCDとは品質評価の基準をユーザーの内心に求めること』という説明が比較的聞き手の反応がよく、最近多用しています。プロダクトアウト思考の方々でも品質評価については理解していますので、品質評価を話のきっかけにすることにしました。
『…世の中には「顧客の内心の評価基準でしか計れない品質特性」があります。「使いやすさ」が典型的です。使いやすさ品質を高めるには、顧客の内心というあいまいなものを品質評価の基準に置かなければなりません。そのための方法論がHCDです。心理学や人間工学の知見を応用することで「顧客の内心の評価基準でしか計れない品質特性」の管理が可能になります…』
この説明のいいところは品質評価というキーワードを持ち出すことで根性論的顧客第一主義との違いを明確化していることです。そしてこの説明の悪いところは品質評価の知識のない人にはまったく通用しないことです。
HCDを世の中に普及させるには説明のわかりやすさは不可欠であり、相手によって説明を変えることもやむなしだと考えています。皆さんも是非「HCDについての簡潔でわかりやすい説明」について考えてみてください。そして良い案がありましたら私に教えてください。