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私は、株式会社日立製作所の研究開発部門に所属し、サービスデザインとビジョンデザインの
研究・実践をリードする部署でユーザリサーチャーとして働いています。
2000年代半ばに、ユーザビリティ調査の専門家という立場でキャリアをスタートしたのですが、UXデザイン、サービスデザイン、ビジョンデザインとその活動の枠組みが広がると同時に自分自身が担当する業務範囲もかなり広がりを見せてきています。
さて、そんな中、最近久しぶりに人間中心設計に関連する学会発表を行いました。
発表を受け付けてくださった学会は「サービス学会http://ja.serviceology.org/」です。
私は第9回国内大会で「グローバル連携業務コンセプト設計における人間中心設計の適用-3カ国のエスノグラフィ調査結果に基づく鉱山用機械における業務データ連携コンセプト立案および合意形成事例報告- 」というタイトルで研究発表を行ってきました。
発表内容の説明は学会予稿集に預けることといたしまして、ここでは、発表の際にかねてより親交のある人間中心設計専門家の仲間で、他社でご活躍されているある御方との会話から得た気づきについて書かせていただきます。
その御方は、私の発表内容について以下のような趣旨のご質問をしてくださいました。「ユーザリサーチャーにこの規模の仕事が来て、更に一通り継続して関与できていることの秘訣は何か?(多少文言を変えております)」
これに対し私は以下のように回答してます。「プロジェクトを進める中で“依頼者にとっての本質的な課題”を見出し、やるべきことを段階的に書きだした上で研究テーマとしてまとめて提案をし続けました」
この質疑応答の中で私自身回答しながら理解が深まったのは、プロジェクトにおける意思決定者をグリップするために、インタビュー技術、対話の技術、共感の技術、課題可視化の技術を意識的にも無意識的にもふんだんに活用しているのだなという点でした。
冒頭に述べた通り、私の仕事はUXデザインからビジョンデザインまで幅が広がってきてます。また、それに伴い中心となる対話相手はエンドユーザのみならず、事業のマネジメント層にまで拡張してます。
そのような状況の中、プロジェクトを進める各局面で「誰と対話し、誰に共感するのか」を適切に使い分けていくことこそ、我々人間中心設計専門家が強味を発揮できる領域ではないかと考えるに至ってます。
今後新たな気づきが得られたら、また報告させていただきます。