更新日:
「で、なにができるの?」
私が人間中心設計専門家になり、クライアントへ説明をした時こんな言葉を受けました。
「何かすごそうだけど、私たちには関係ないよね」
きっとそんなことを内心思っていたのでしょうか。
単に説明が良くなかったと言えばそれまでのお話です。
しかし私はどうしても小難しい話と捉えられてしまっていると思えて仕方がありませんでした。
HCDプロセスの有効性を説明すればするほど、
手間がかかり見合った結果が得られるのか疑念を抱いているように感じました。
「言っていることは正しい、重要だということも理解できた」
次に来る言葉は「今そこにリソースや予算、時間をかける判断ができない」
認定資格を取得したのにうまくクライアントへ導入することができない。
私は何がいけないのかHCDプロセスに立ち返り、「クライアントが私に何を求めて打ち合わせをしているのか」を考えました。様々な要因から私の中で腑に落ちた一つの結論があります。
「問題を解決するためにHCDプロセスの有効を説明している。しかし解決策と受け取られていない。」
この結論を受け入れクライアントと私のギャップをどのように埋めるかを模索しました。
まず概念的な説明を最初からするのをやめました。
そしてクライアントが抱えている問題とHCDプロセスで紐づく対応を間接的に伝える方法を思考しました。
例えば、
「その根拠はあなた以外の人も同じ事を思うのでしょうか?
同じ組織の人間だけでなく家族や友人に聞いても同じ結論になるのでしょうか?
家に帰ってから私にしていただいたお話をしてみてください。
簡単な概要だけでも構いません。どのような反応があるか教えてください。」
といった具合に。
するとクライアントは自身の根拠を改め、一緒に模索するようになりました。
その時に行っている事がHCDプロセス「利用の状況の把握と明示」の一部だとお伝えしました。
そこで初めてHCDプロセスの有効性を理解していただけたと感じました。
「難しい論説ではなく、身近な体験で」
自身が出来ていても相手にとって未体験の事はどうしてもハードルを高く感じられてしまいます。
私のように頭でっかちな説論をし同じ失敗をしている方はもう一度、立ち返って考えて下さい。
これは一つの成功事例でしかありませんが、きっとアプローチを変えるだけで、
あなたが実現したかったHCD導入プロジェクトに一歩近づけるはずです。