HCDコラム

年度末の処理で利用したがっくりした社内システムを取上げ、いかにユーザーの利用状況と乖離があるか、また解消できるのかを考察してみます。

私の会社の事業は主にプロジェクトベースの受託です。
そのため、基幹システムは案件管理システムであり、それをハブにした派生系システムが複数あります。

<主に使うシステム>
・案件管理システム(予実、要員管理、請求等):フロントとバックの業務をつなぐ、基幹システム
・ワークフローシステム:案件管理システムからの各種申請の承認管理
・ポータルサイト:膨大なマニュアルやノウハウが蓄積されているCMS
・機能切出システム:収益や配員管理など、案件管理システムのコア機能を使いやすいように切り出したもの
・謎のOffice系の申請書がたくさん。。。

社内システムの特徴として、海外の某パッケージをカスタマイズし導入したものです。また、歴史的背景から社内システムでの利用言語は、すべて英語です。一方、ユーザーの利用状況として、利用頻度は多くて月に1回、少ないと半年に1回程度です。利用タイミングは、月末、期末、年度末の切羽詰まった状況です。また、謎のOffice系の申請書があり、頻繁なバージョンアップにより最新にたどり着けない。また、ワークフローシステムで申請しようにも、使い方がわからず。マニュアルを蓄積したポータルサイトでも、マニュアルに一発でアクセスできず、キーワード検索が発生します。例え、マニュアルにたどり着いても、機能的な使い方の解説のみで、自分の利用ケースは不明もよくあります。

ここまでの特徴から、乖離が発生したポイントを纏めると、次のことが挙げられると思います。

① 利用頻度が少ないわりに、切羽詰まった状況で使わなくてはいけない。そのため、熟達化せず、利用のハードルが上がる。
② 切羽詰まった状況での利用なのに、英語のため利用 ハードル がたかい。(転職して10年近くになりますが、全く慣れず。。。)
③ 申請書やマニュアルまでのアクセスが複雑で、たどり着いても記載が利用ケースにそぐわない。

これらを解決するのは、運用面ではないかと考えています。どれだけ考慮してもシステムで解決できない問題はあり、その問題は、時間とともに変化するため、適宜解消することが大切だと考えます。


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HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。