更新日:
人間中心設計は、事業を成功に導く重要な要素ではありますが、事業開発と人間中心設計をバランスよく取ることは容易ではありません。最近、ある不動産サービスが絶妙なバランスで価値を提供していることに感動しました。顧客、事業、関連会社、どの方面にも価値ある仕組みだったのです。
詳しく調べていると、そのサービスは顧客課題の解決を中心に立ち上がり、みるみる成長していった様子がIR資料から読み取れました。さらに別軸のサービスも立ち上げられたことも知りました。そちらは前者ほど顧客体験が洗練されていないように見て取れたので、顧客中心というよりも株主に約束した事業成長(KPI)を達成するためのドライバーとして立ち上がっているように感じました。それが悪いということではなく、サービスの生まれは顧客中心、事業中心どちらからでも有りえ、制約をどこに設けて発想するかが異なるだけです。
事業開発は、新しいプロダクトやサービスを開発して市場に出すことによって収益を生み出すことを目的とします。一方、人間中心設計は、ユーザーのニーズや環境に合わせたデザインを行うことで、より使いやすく、魅力的なプロダクトやサービスを開発することを目的とします。事業開発と人間中心設計をバランスよく取るためには、まず市場ニーズを調べ、それに合わせたプロダクトやサービスを開発することが重要になります。そして、開発過程においては、常にユーザーのニーズや環境を考慮し、それに合わせたデザインを行うことが必要です。
私たちはユーザーの利便性を高めることに尽力しながらも、事業にとってどのようなメリットに繋がるのかも合わせて考える必要があります。事業開発を担当する方も、利益を追い求めるだけでなく、ユーザーの利便性を高めることと事業成長が連動する仕組みを考える必要があります。
それぞれの立場を理解し、見失っていたときには互いに補完し合いバランスを取り続けることが、営利組織に属する人間中心設計専門家として大切なことであると、そんな基本的なことを改めて考えるきっかけとなりました。
先に述べたサービスが、これから顧客中心に価値が磨き込まれていくことを、いちユーザーとして期待しながら見守ろうと思います。