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顧客企業のデザイナーの育成支援に携わることが多く、今も8名のチームに伴走しています。HCDコンピタンスマップで言えば、A3の定性・定量のデータの分析能力から、A9の情報構造の設計能力についての相談や、マネージャーに対しては、B2やB3、さらには、デザイナーの評価指標づくりや評価サイクルのお手伝いをする機会が増えました。そうしたスキルや実践方法を学習する環境構築をお手伝いすることで、顧客企業のデザイナーの育成支援に力を入れているのですが、複数の組織にまたがって、気になるセリフが聞こえてきます。
「〇〇手法、正しく使えてますか?」
手法の正しさを気にしてしまうのです。その質問の意図を聞くと、あやふやな答えが返ってくることが多いです。これは、ISO 13407時代の「人間中心設計の必要性の特定」がかけてしまっていることが原因でしょうか?
察するに、デザイナーたちは、自分たちが担当する作業に集中するため、プロセス全体を俯瞰的に見ることが少なくなっているように感じます。特に、事業や役職や職位によって分業が進んでいる場合、担当箇所だけを見て効率的に進んではいるものの、全体像を考えることが少なくなってしまっています。その中で、それぞれの手法が「作業的」に選ばれているのではないでしょうか?
このような状況を打開するためには、デザインの仕事に取り組む根源的姿勢、もしくは、そうした姿勢を可能にする組織設計を見直す必要があると感じています。その手法が、どのように目標に貢献しているかを再確認するため、人間中心設計の手法の文脈を正しく理解することが重要です。手法がただ「使われる」だけでなく、単なる製品やサービスを提供するだけにとどまらず、人々の仕事や生活をより良いものとするために、なぜその手法が必要になったのか?、人々のどのような問題を解決するために使われるか、またその手法が、先発の手法のどんな課題を解決した手法なのか?を理解することで、デザイナーたちは、より目的意識を持って業務に取り組むことができるでしょう。
私もかつて、そう思われていたのかも?とも思うのですが、言い換えれば、デザイナーたちがより「使命的」に業務に取り組めているか?を、改めて点検する必要がありそうです。今、「作業的」に仕事しているか、「使命的」に仕事をしているか、振り返るようなお手伝いをこれからも続けていきたいです。