HCDコラム

突然ですが、みなさん「コンポスト」をご存じでしょうか?

コンポストとは、家庭から出る生ゴミを微生物の力を借りて堆肥にするものです。基材と言われるものの中に生ごみを入れてかき混ぜる、これを繰り返すことで微生物の力によって生ごみが分解され、堆肥になっていきます。一般的な物は設置型コンポストというのがあり、もしかしたらみなさんも畑や庭の片隅に緑色の設置型コンポストを見たことがある人も多いのではないでしょうか。その他にも手軽にできるダンボールコンポストというのもあります。 通常、捨ててしまっている生ごみを堆肥にして、循環することができるとても環境に良いものです。

実は個人的にこのコンポストに関するプロジェクトをお手伝いしていて、その中で定性調査や定量調査を実施しました。定性調査ではコンポストを現在利用している方に、インタビューを実施しました。

その中で印象的だった言葉がコンポストを「育てる」という言葉を使っている人が何人かいたことです。

コンポストは基材の中で生ごみが分解され堆肥になっていきます。実際の変化としては形ある生ごみ(野菜クズなど)が分解され、生ごみの水分が飛び、茶色の堆肥になっていきます。分解されるのには微生物の力を借りるのですが、微生物なのでもちろん肉眼では見えません。 基材や生ごみが変化していく体験が「育てる」という体験に通じているのだろうなと感じました。このプロジェクトをきっかけに自分自身でもコンポストを利用しているのですが、うまく世話をするといい状態の堆肥になっていくので「育てる」という感覚には納得しました。 ぬか漬けのぬか床も毎日かき混ぜて世話をすると良いといいますから、その感覚に近いのでしょう。

こういうリサーチをしていると普段接しない人の世界や価値観に触れることができるので、とても楽しいですね。


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