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日本政府のオンライン行政手続きは使い勝手が悪いと感じる時が多々あります。
実際に体験した事例をいくつか紹介します。
事例1
某行政アプリは、住所入力欄に半角数字がある場合警告なしに半角数字だけ削除する。警告がないので削除されたことに気づかず、間違った住所を登録してしまう。当然ながら電子証明書作成時に登録した住所と一致しないため、書類送信後に書類不備として返戻される。
事例2
別の某行政アプリは、ユーザー登録手続きの一環として電子証明書をアプリに登録し、且つ、個々の届出書にも電子証明書を用いた電子押印を要求する。両者の電子証明書が不一致の場合は書類不備となるが、アプリ自体には不一致を判断する機能がない。書類送信後に書類不備として返戻される。
事例3
某行政ウェブサービスは、届出書に書類不備のあった場合、返戻理由を拡張子.xmlのファイルとして送ってくる。.xmlが何のアプリケーションに対応したファイルであるか取説に記載がなく、ダブルクリックしても何も起動しない。なお昔はInternet Explorerが起動したとのこと。
他にも細かい問題は多々ありますが指摘をするときりがありません。
なんでこんなに使い勝手が悪いのかについてですが、私は「使いやすさを品質として管理していない」ことが原因であると考えています。日本政府のデジタル・ガバメント推進方針(平成25年5月)においてユーザビリティは2件しか言及がなく、それらは行政手続きのワンストップサービス化を念頭に置いた記述であり、利用品質(使いやすさ品質)の管理については記述がありません。東京都デジタルサービス局のような先進的な取り組みはまだ国の行政には波及していません。
利用品質(使いやすさ品質)の管理は、精神論としての顧客第一主義から脱却して真に人間中心設計を実践するために必須の要素です。HCD-Netは利用品質の普及に尽力しています。会員の皆様におかれましても是非ご協力をお願いします。