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「HCDにおける「ジェネレーター」という考え方」(ウメムラタカシ氏)
「ジェネレーター」と聞いて、アナタはどのようなイメージを抱きますか?詳細は書籍「ジェネレーター 学びと活動の生成」(市川力・井庭崇 https://amzn.to/47DL9kV )に譲るとして、少しだけお話ししたいと思います。
◆ジェネレーター前夜
人間中心設計を実践する上で、「ファシリテーション」は欠かせません。サービスデザインなどの実務において、ワークショップ形式の会議は頻繁に行われ、そのファシリテーターを担うことは少なくありません。しかし、私にはそこに一つのモヤモヤがありました。
ファシリテーターはコミュニケーションを整理します。議論には介入せず、場作りに専念します。しかし、サービスデザインの工程ではサービスデザイナーとしての知見や意見を述べるべき場面が多々発生します。これはファシリテーションの最中にも起こります。また、初学者はその態度を過剰に取りがちであり、私も初めの頃はファシリテーションと言いながら議論に介入することが沢山ありました。
◆ジェネレーターとの出逢い
「これをファシリテーションと呼んでいて良いのか?」
「ファシリテーターを目指している方が混乱しないか?」
そんなモヤモヤを背負いながらも、私がファシリテーションについて他者に教える機会も増えて行きました。そんな時に、このモヤモヤを整理し、信念を生成してくれたのが「ジェネレーター」という考え方でした。
・自らも一員として場に飛び込む
・参加者と共同で具体的な答えを生み出す
・発言を促すための場作りではなく、発言によって場が促される
など、ファシリテーションとは異なる態度が挙げられていました。
◆ジェネレーターとファシリテーター
この二つの態度は優劣ではなく、使い分けだと考えます。また、専任を二人置くのが良いのか、明示的に態度を示して一人が実施するのが良いのかなど、今なお悩むところもあります。
ただ、「ファシリテーター」という職能が曖昧に普及してしまうよりは、ワークショップ形式の場において明確に区別することが人間中心設計にとっても有益だと考えます。
今後も人間中心設計家の中に「ジェネレーター」を担う人が増えて行くことを期待しています。
少しでも興味がある方はぜひお友達になってください。