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ChatGPT登場から1年経ちました。ソフトウェアデザイナーの日常的な用途を記します。
忙しい朝の卵かけご飯のような、質素なレシピです。
この1年で私が一番頻繁に使ったのは、ChatGPTによる小さなプログラムのコード出力でした。例えばAdobeXD・Photoshop・Figmaで画面をたくさん扱う際、作業を自動化するスクリプトです。仕様の大枠は人間が考え、中身の関数を書いてもらいます。これは精度が良く効率化に寄与しました。大袈裟なプラグイン開発ではなく、面倒な作業を30行程書いてポチる、使い捨ての小さなコードです。数年後にはツール本体に搭載され、自然言語で指示できるようになると思われます。
2番目に使ったのは、ダミーテキスト作成です。適切らしい文言を初期段階から入れる事ができます。例えば、横幅160pxのボタンに収まる単語を、日本語と英語とアラビア語それぞれ出力して文字領域が適切か検討するなど。文言にカジュアルなニュアンスを要求するのもポイントです。最終的には専門の言語家に依頼しますが、仮置きでも文言が入るとユーザビリティ評価がしやすくなります。今後ワイヤーフレームでLorem Ipsum や夏目漱石を見る事は少なくなるでしょう。
UIだけでなく、ペルソナやカスタマージャーニーマップのたたき台に載せる記入例にも活用できました。白紙で始めるよりも、記入例が豊富にあった方がワークショップの滑り出しが良くなります。
ペルソナといえば、顔写真を画像生成するのは新しい発見でした。とあるワークショップで
「42歳の日本人男性の顔写真、服装は白いワイシャツで白い背景」等で出力した画像を20枚並べて一斉に選んでもらうと、パッと指が1枚に集中し、場が湧きました。皆 頭の中にイメージはあるのです。
その他、まだ導入数は少ないものの、画像生成は意匠(グラフィック)検討にも使っています。特に意匠方針検討段階でアイデア発散用途の効率化が著しいです。今年の春頃は何千枚も出力していましたが、そのうちどのAIツールも部分調整できるようになり、夏頃から出力は千枚前後に抑えられました。2023年時点では意匠方針が固まった後、そこから先は人間が絵を描いています。ただし部分的な絵、背景の建物などは時折AIに素案を描かせるので、AIとヒトの作業領域の境界は曖昧です。ソフトウェアデザイナーは魂を燃やして絵を描く一方、これは単にデータのRGB値だという冷めた目線もあります。意匠出力速度を上げる事で、感性評価期間を長く取り、評価サンプルを豊富に揃える事を期待します。
この1年弱でもAIツールの恩恵は甚大です。クリエイターの1人として、議論を見守っています。ソースを提供した無数の先人達に敬意を払い、彼らに正しく利益が還元される事を願ってやみません。
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おわりに。上の文章は、97%ヒトが書いたものです。事務局の方から「語尾はである調ではなくですます調に」と校正を受け、修正対応したのは ほぼAIだった事をここに白状します。35箇所修正され44文字追加になりました。所要時間はヒトの手直し含めて3分程度でした。