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「人間中心設計」「1on1」「マインドフルネス」。
いずれも、ここ数年で耳にすることが増えた言葉のように思います。このコラムでは、この3つの共通点について記載したいと思います。
「人間中心設計」
皆様ご存じの通り、デザインリサーチをはじめとする顧客理解手法を用い、顧客一人一人の内面を掘り下げ、そこからコンセプトを抽出し、新しい製品サービスを生み出す/既存製品サービスを改善するプロセスですね。
ポイントとなるのは、顧客が言語化できている便益ではなく、顧客の心の奥底にありまだ言語化できていない便益を引き出すことです。
チームや集団で、顧客の深層心理に降りていく活動と言えると思います。
「1on1」
最近は上司と部下とのコミュニケーションの場を指し使われることが多い言葉です。
1対1で行う対話で、進捗報告とは異なり、「部下のための時間」とされ、上司は傾聴に徹する、というイメージをお持ちの方が多いでしょうか。
上司部下やメンバー間での相互理解、チームビルドを狙いとした活動です。
上司は部下の話を聞き、一緒に部下の心の奥深くに降りていくことで、部下に「あ!そうなんだ!」という新しい発見を与えることができる活動だと思います。
2人で、対象者の深層心理に降りていく活動と言えるでしょう。
「マインドフルネス」
アメリカ西海岸の企業が企業研修に取り入れているという触れ込みで日本にも広まりつつあります。
「目を閉じ、背筋を伸ばし、呼吸に意識を向けることで、何も考えない状態にすること」を指すことが多いように思います。
日常、私たちは様々な情報がひっきりなしに入ってくる環境にいますが、情報を遮断することで、デフォルトモードネットワークの活動を鎮めることができるとされています。
意識が鎮まることで、深層心理の深くにあるものが浮上しやすくなります。
一人で、自身の深層心理に降りていく試みと言えると思います。
こうしてみると、いずれの手法も「深層心理/無意識の探求」という共通点がありそうに思います。
上記3つのワードと同じく、無意識と関連のある言葉で、「アンコンシャスバイアス」というものもありますね。
私たちが普段持っている、「意識できない考え方の癖・思い込み」のことを指します。
「他人や物事を見るときには、裸眼ではなく、それぞれ独自のサングラスをかける」という例えで説明されることもあります。
(例えば、自己紹介で「職業は学校の先生をしています」と聞くと「すごいですね!」と無意識的に反応してしまうとき、アンコンシャスバイアスが働いています。)
この「アンコンシャスバイアスを外すことの重要性」について、私たち人間中心設計専門家/スペシャリストはかねてから、デザインリサーチなど顧客価値を探求する体験を通じて知っていました。
自分の経験や前提でモノを見るのではなく、顧客の立場で、顧客に共感してモノを見ることがデザインリサーチの要諦でした。
現在は、「1on1」「マインドフルネス」「アンコンシャスバイアス」など、「無意識」に焦点が当たることが増えているように思います。
私たち人間中心設計専門家/スペシャリストにとっては、デザインリサーチ等で培った「自身のアンコンシャスバイアスを外すこと」のスペシャリストとしても、活躍していくことのできる時代といえるのかもしれません。