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誰しも興味があること好きなことは熱心に取り組めるが、そうではない場合は気持ちが入らず、できればやりたくないと思うものでしょう。仕事の場合、やりたいかどうかではなく、割り当てられた仕事はやり切らなくてはいけません。評価や報酬、場合によっては「怒られるから」という感情で無理をしてでも頑張る人もおられるかと思います。しかし、どうせ取り組むならば前向きな気持ちになりたいものです。
私は新規事業を開発する組織のマネージャーをしています。とある事業を立ち上げるプロジェクトで、そのテーマに心が向かないメンバーがいました。事業のビジョンは理解できるものの、テーマが個人的な興味の対象から少し外れており、開発チームがビジョンに向かって一致団結する中、責任感の強さから悩んでいました。
私は、そのメンバーが仕事に求める潜在要求を把握するため対話を重ねました。やりがいを感じた仕事、やってみたいこと、今の自分に足りない、身に着けたいと思っていることを聞き、要求をモデル化しました。並行して事業開発プロジェクトで得られる経験もモデル化し、接続点を探しながら対話を重ねました。
その結果、事業テーマには関心を持てなくても、自身が身に着けたい、こんな人になりたいと感じている経験を積める関わり方があることがわかりました。プロジェクトとしては「事業を立ち上げること」が目的、ゴールですが、そのメンバーは、自分が身に着けたいことを経験することを内なる目標にし、私がメンターをしてプロジェクトに取り組むことになりました。プロジェクトのミッション/ビジョン/バリューは皆で掲げるが、そこに関わるメンバーたちが、各々のミッション/ビジョン/バリューを持って取り組めばいいのだ、と気づかされた経験でした。
今もまだそのプロジェクトは事業化を目指す道半ばですが、よい経験を積む=要求が満たされた状態になるために、今後も対話を重ねサポートしていきたいと思います。
このように、マネージメントをしていると「あぁ、これは人間中心デザインの世界だな」と思うことが沢山あります。マイナスの局面が訪れるとついつい焦ってしまいますが、そんな時こそ、丁寧に人間中心デザインの基本に立ち返って向き合っていきたいです。