HCDコラム

皆様、水道の蛇口は右(時計回り)に回すと閉まり、左(反時計回り)に回すと開くことはご存じかと思います。
また、お湯と水の蛇口が個別にある場合は、左側がお湯で右側が水というのが日本では一般的で、この論理に基づいて、無意識に温度調整をされていることでしょう。

それでは、 レバーが1つのシングルレバー混合水栓の場合は如何でしょうか?
上記の理論を踏襲して、日本では右にレバーをたおすと水、左にたおすとお湯となっているはずです。

ところが、海外では日本の逆の配置になっていたり、酷いケースでは、同じバスルームの洗面台とシャワーでお湯と水の蛇口の配置が逆ということもあります。

せめて、どちらがホットでどちらがコールドなのか、赤色(ホット)と青色(コールド)で識別できれば良いのですが、そうしたUI/UXなどお構いなしといったケースに何度も遭遇してきました。

ここで思い浮かぶのが、ピクトグラムです。

現代のピクトグラムの原型は、1964年に開催された東京オリンピックで採用された「施設シンボル」とされています。
東京オリンピックでは、多くの外国人が来日したため、多様な言語を話す人々に対応する必要がありました。そこで、美術評論家の勝見勝氏とデザイナーが家紋に着想を得て、シンボルで施設や設備を表現しました。これらのピクトグラムは、日本の伝統的な芸術や文化の要素も取り入れており、著作権が放棄されたため、全世界に広まりました。

どちらがお湯でどちらが水なのか、世界的な仕様統一が無理であれば、せめてピクトグラム的なアプローチによって、アクセシビリティーの改善を図る。

こうした活動が人間中心設計専門家には求められていると感じた一コマでした。


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HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。