HCDコラム

昔からそもそも論が好きでしたが、最近人間中心設計的な推論で腹落ちしたことが続きましたので、まとめてみました。

1.日本語がなぜ縦書きで、行が右から左か
多くの言語では、左から右の横書きです。右利きが右から左の横書きをするとインクがこすれ、手の下の文字が見えず、ユーザビリティ上問題です。
古代中国では木や竹の板に字を書いてから、ひもでつないで巻いていました。のちに発明される紙に比べ重くかさばります。
読むときに巻かれた向きがどう影響するかユーザビリティ的に考えました。
1)横書き・上から下(または逆):上下にスペースが必要。横の筒を巻くのはやりにくい。
2)縦書き・左から右:利き手の右側に巻いていった方が楽。
3)縦書き・右から左:最も使いやすい。
ネットで調べてみたら同じ推論があり、正解かと思いました。

2.右利きが多いこと
1にも関連しますが、体の左右均等に血を送るには心臓は中心がいいが、左にずれています。
獣から襲われた時、体の中央が危険なので、重要な器官である心臓をずらしたと思われます。
そして利き手は獣と戦ったり、作業でケガをしたり、感染症になりやすかったりします。
そこで利き手を心臓と逆の方にすると生存上有利になります。
ユーティリティ寄りの機能保全が原因ではないかと思いました。

3.貝塚
ある施設の貝塚の展示を見て気づいたのが、貝はほとんど動かず、抵抗もしません。
小さな子供でも捕獲できるユーザビリティ(利用性)の高い?たんぱく源でした。
特に釣りの針や網などの道具の発達以前には、特に採集しやすかったと思います。

4.高いところや海や森、川のせせらぎなどは気分がいいこと
3つ目に関連してですが、海と森はエサが多い場所です。
川のせせらぎは、池と異なり滞留しない新しい水が直に得られることですし、森も水があることにつながります。
高いところは、どこにエサや水、外敵があるかわかる、つまり情報量が多い状態になります。
これらのことからタワマンに人気があったり、オフィスに観葉植物を置いたりするようです。

実務に寄与しませんが、個人的に腹落ちして高いUXが得られました。
実務的には、製品・サービスの機能など、そもそも論的に原因・起源を考えると、経過により無意味になった機能など把握できる可能性もあります。
これからもこのような思考は続けていきたいところです。(単に趣味なだけで、無理やりなオチですが・・)


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