HCDコラム

ここ1年の間に東南アジアへ数回出張しました。初めて訪れる土地で習慣の違いに戸惑うことはよくあることですが、そんな時HCDの重要性を実感します。シンガポールのホテルで入浴後バスタブに溜めた湯を抜こうと栓に目をやるとチェーンがつていません。周辺にボタンがないかと探しますが見当たりません。栓を押しても引いてもビクともせず、数分悩んだ末、ふとバスタブ上部の排水口に目をやるとカバーの周囲にわずかな窪みを発見!もしやと思いカバーを回してみると見事に栓が上がり湯を抜くことが出来ました。日本では見たことのない仕組みに苦戦しました。逆にマレーシアの鉄道(MRT)券売機は非常にシンプルでわかりやすい。画面が大きくて見やすく、最初に行先の駅名検索から始まります。日本では行先と料金は自分で調べてから券売機に向かいますが検索こそ機械にやらせるべきです!目的の駅名をタップすると大きな文字で金額が表示され、使える紙幣や硬貨が実際の絵で表示されてとても親切。日本の券売機は多機能で色々なことができる分、そのUIは非常に複雑です。日本でHCDの仕事をしていると複雑な機能をいかに使いやすくするかに注力してしまいがちですが、その前に機能を単純化するアイディアを提案することの方がユーザーにとってはありがたい‥‥不慣れな海外の習慣にHCDの重要性を実感し、旅先で軽くため息をつきました。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。