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「メール便廃止にみる非人間中心性」
ヤマトのメール便は僕も随分利用してきた。全国にあるポストの数は平成21年で188,326本だそうだ(http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6578395.html)。それに対してメール便を扱うコンビニは、セブンイレブン、ファミリーマート、サークルKサンクスなど複数企業があるので正確にカウントするのは大変だが、およそ35,000軒から40,000軒弱程度かと思われる(http://todo-ran.com/t/kiji/10327)。数からいえばポストの方が圧倒的に多いわけだ。ただ、個人的印象では、東京ではポストの数よりもメール便を扱うコンビニの方が多いような気がする。ちなみに僕がメール便を利用してきた理由としては、送料が安いこともあるけれど、アクセスの利便性も大きかった。
そのメール便が2015年3月末で廃止されるのだという(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150127/276765/?P=1)。その理由は1980年代以来の「信書論争」なのだという。信書とは、書状だけでなく、請求書類、会議収集通知、表彰状や証明書などが該当する。反対に信書に該当しないのは、新聞雑誌、論文、カタログ、小切手、プリペイドカード、乗車券、クレジットカード、会員カード、ダイレクトメールなどである。どういう線引きなのか実に分かりにくいが、メール便によって前者の類の信書が送られている現状は、日本郵便の独占的権限を侵害していることになるそうだ。しかし、その日本郵便がこの秋には上場して完全な民間企業になるという。だから余計に訳がわからない。
このヤマトの言い分だと官庁の指導に原因を押しつけているように思えるが、果たしてそうなのだろうか。新たにメール便に代わって導入されるシステムは料金アップになるらしい。それがヤマトの本音なのではないだろうか。素直に他人の意見を聞けない僕の性格の故かもしれないが、どうも怪しいとにらんでいる。
しかも、現状、個人によるメール便の利用は1割程度しかなく、しかもシステム変更により原則的に手がけなくなる、というような話もしている。そして、こうも言っている。「そう考えると、純粋にメール便を使って個人が書類をやり取りするボリュームは決して大きくはないんですね。その点では、業績に影響を与えるインパクトはさほど大きくないはずです。」
『そうなんですか、ヤマトの業績は気になるが、利用者の利便性は考慮の埒外なんですね』という印象である。日本郵便を擁護するような信書論争における官庁の考え方にも問題はあるが、ヤマトという企業の非人間中心的な発想ないし言い方にも腹立たしくなる次第である。結局は資本主義の論理ということなのだろうか。