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人間中心設計手法には、実際にモノを作る前に、ユーザーに商品やサービスの価値を伝える方法が種々存在しています。例えば、ストーリーボーディングを用いれば、ユーザーにいいね!と感じてもらえるアイディアを具体化し、その受容度を確認することができます。逆にストーリーの中に手間が増える手順を含めておけば、ユーザーに商品やサービスを使用した際にかかる負担を伝えることもできるでしょう。
しかし、ユーザーがその価値を得られるのなら、その程度の負担は許容できると感じた場合であっても、いざ実際にモノができて使い始めると、負担が許容できなくて使用されなくなるというケースをよく聞きます。心理学的には良いことより悪いことの方が印象に残りやすいはずなのですが、こういった価値提案手法においては良いことが印象に残るようです。
すばらしいアイディアを思いつきそれを伝えたい!という気持ちが先にたって、価値の提案箇所はリッチになり、負担を伝える箇所がプアーに表現されているのかもしれません。もちろん、まずは価値をつかんで、負担の軽減はそれからだという考え方もあるかとは思います。しかし、実際には最初から前提条件として負担を考慮しなければならない場合があります。提案した価値がとても好評だったから・・・と最後まで突き進んで失敗しないよう、提案の時点で負担をきっちりとユーザーに伝える技術を高めることも必要ではないかと考えます。