HCDコラム

 HCDの基本はユーザーをみることだ。誰の・何を・どのようにみるかはプロジェクトによるが、日頃からいろいろ問いを持って「みる」ことが鍛錬になるかと思う。ヒト以外もみてみてはどうだろう。

 以前、私はフェレット(イタチ、カワウソの仲間)と暮らしていた。
フェレットはこんなことをする。

  • 上にあるものは下に落とす
  • 縦のものは横にする
  • 食べ物でないものも口にする > 腸閉塞に注意
  • 狭いところに入り込む > 出られなくなることしばしば
  • 高いところに登る > 降りられなくなることしばしば

…etc.
これって二歳児の行動じゃない? 哺乳類って同じじゃないか、と思うわけである。

ヒューマンセンタードだからとヒトだけ見ているより、他の生き物をみたほうが却って本質に気づきやすい場合がある、というのが私の持論である。

 UIの作り方にはざっくり分けて2つある。

方針A:ユーザーのメンタルモデルに沿ってつくる
方針B:そのUIに触れたらメンタルモデルの変更を起こせるようなUIをつくる

例えば、「一回やればわかるよね」的なUIは、Bのタイプである。
作り手の都合でなんでもかんでもBをやりがちであるが、「そもそも哺乳類って…」という認識に立つとBを頑張るより、Aを頑張ったほうがお互い幸せ、という分岐点も見えてくる。

 ちなみに、フェレットは犬ほどお利口ではないので、躾でどうなるものでもなく、彼らとの生活では方針Aをとるのが基本だ(メンタルモデルを「特性」と読み替え)。上記はすべて起こりうることとして、環境を整備し対策する(=システムを設計する)ということになる。…それでも彼らは次々と新しいいたずらを開発するので、目が離せない。これが本当のイタチごっこ(=繰り返し設計?)。

ご安心あれ、設計側のユーザー理解が深まり熟練度が上がると、UXも上がります(=お互い楽しく暮らせる)。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。