HCDベストプラクティスアウォード2017

5月20日に、外部審査員5名、内部審査員2名の計7名による厳正なる最終審査の結果、以下5件の授賞が決定いたしました。受賞された企業の皆さま、おめでとうございます。本5件は、来たる7月23日の「HCD-Netフォーラム2017」にてプレゼンテーションを行います。どうぞご期待ください。

優秀賞1

『大手製造メーカーも採用した「ビジネスコミュニケーションフロー」』(SCSKサービスウェア株式会社)

プロセス・メソッド部門

【評価ポイント】
 先進事例として実務に役立つヒントが多い。ネット内のユーザー行動を可視化する例はよくあるが、リアルユーザーの行動を、ユーザーごとにジャーニーマップを工夫しながら行動の強弱までをも可視化している点は、高く評価できる。全ての要素をまとめるにはかなりの手間暇がかかるが、今後軽量化を進めれば、ビジネスインパクトを出せるような使いやすいツールとなる可能性を秘めている。今後一般化されることを期待する。

優秀賞2

『金融系印刷物などへのユーザビリティやUXDの推進 ―
保険のカタログや手続き書類などとDMへのHCDの応用』(トッパン・フォームズ株式会社)

プロセス・メソッド部門

【評価ポイント】
 今までHCDが普及していなかった印刷業界にHCDを導入し、金融商品という制約や規制のあるなかで、視線や脳波の計測も用い金融業務の改善を行っている。カタログや帳票、ダイレクトメールなどの商品別にサービスとしてのラインナップも用意するなど、ビジネスとして活用しやすさの点にも工夫しており、開封率や申込率の増加、問合せや誤記入の減少など、具体的成果もでている。

奨励賞1

『楽天グループにおける、HCDプロセスの全社的な導入』(楽天株式会社)

プロセス・メソッド部門

【評価ポイント】
 大きい組織でありながら、横断的に活動し、共通化・定量化にチャレンジした。品質をスコア化し、定量目標を設定して基準を下回ったらリリースできないなど、仕組み化に取りくんだ事例である。経営陣からも「今後のビジネスにおいてHCD/UXDが必須の取り組みである」として支持され、社内文化に合わせてルール化し、運用している点も評価できる。

奨励賞2

『「Arumon」プロジェクトを通じた野村総合研究所のHCD啓発活動』(株式会社野村総合研究所):

プロセス・メソッド部門

【評価ポイント】
 システムインテグレーションの業界で、アジャイル開発を取り込みつつ、新しいサービスを開発し、企業文化も改善している。ウォーターフォールが一般的な中で、アジャイル開発とHCDを統合した活動は評価できる。HCD普及の一例としても意義があると考える。

審査員特別賞

『「楽天ペイ」アプリのエクスペリエンス&プロダクトデザイン』(楽天株式会社)

成果部門

【評価ポイント】
 プロトタイプによるデプスインタビューを繰り返すなど、HCDのプロセスを丁寧にまわしている。<安全に加えて安心感が得られないといけない><簡単よりもお得感>などのインサイトを発見し、実際にサービスに反映している。その結果、導入店の来店頻度があがり、導入企業もメリットを感じ積極的に来店者にアプリをすすめる、などの成果も見受けられた。概念が整理されており、プレゼンテーションが非常にわかりやすくまとまっていた点を審査員特別賞として評価。

最終審査対象全テーマ

・楽天グループにおける、HCDプロセスの全社的な導入(楽天株式会社)
・「Arumon」プロジェクトを通じた野村総合研究所のHCD啓発活動(株式会社野村総合研究所)
・サントリー「コーポレートサイトリニューアル」プロジェクト(サントリーホールディングス株式会社+サントリーシステムテクノロジー株式会社+株式会社コンセント)
・"goo"のブランド戦略におけるHCDプロセスの導入事例(エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社)
・新規ソリューション創出におけるHCDプロセスの実践事例 ーTHETA顧客行動分析ソリューションの提案と商品化活動ー(株式会社リコー)
・Concent Service Design Sprint(株式会社コンセント)
・大手製造メーカーも採用した「ビジネスコミュニケーションフロー」(SCSKサービスウェア株式会社)
・「楽天ペイ」アプリのエクスペリエンス&プロダクトデザイン(楽天株式会社)
・印刷通販Webサイトの成果向上に活かされたHCD(株式会社アイ・エム・ジェイ)
・金融系印刷物などへのユーザビリティやUXDの推進 ― 保険のカタログや手続き書類などとDMへのHCDの応用(トッパン・フォームズ株式会社)
・家計簿サービス開発における「サービス提供価値」の再整理と周知(株式会社マネーフォワード)
・サービスデザインによる事業開発/マーケティング 人材集中研修(株式会社コンセント)

HCD-Netフォーラム2017について

・開催日時 7月23日(日)10:00〜17:45
・開催場所 芝浦工業大学 芝浦キャンパス、801教室/802教室
・告知ページ http://www.hcdnet.org/hcd/event/entry-1051.html
・HCDベストプラクティスアウォード セッションは、12:45から13:50の予定

最終審査 審査員

今井拓司氏(日経BP社、日経エレクトロニクス 編集委員)、岩佐浩徳氏(株式会社リクルートテクノロジーズ、執行役員エグゼクティブマネージャー)、上田義弘氏(富士通デザイン株式会社、代表取締役社長)、黒須正明氏(HCD-Net名誉理事長)、田丸喜一郎氏(独立行政法人情報処理推進機構、技術本部ソフトウエア高信頼化センター企画グループ調査役)、玉飼眞一氏(株式会社アイ・エム・ジェイ、 R&D室長)、松原幸行氏(HCD-Net、アウォード表彰委員会委員長)


HCD-Netで人間中心設計を実践する

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、よりよいプロダクトやサービスを生み出すべくHCDを推進する企業活動が活発になることを目指して様々な支援を行っています。

企業におけるHCDのプラクティスを発掘し、HCDのとりくみの活動モデルとなることを目指す表彰制度をはじめ、専門家のみならず、企業同士の横のつながりも創出していきます。