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HCI International 2014 (2014.6.22-27)参加報告
HCI International 2014がギリシャのクレタ島で6/22から27まで開催された。この学会は、総大会長のConstantine Stephanidisの下に、2つのThematic Areaと12のAffiliated Conferenceがある構造になっており、私はThematic Area Human Computer Interactionの大会長として参加し、大会運営に関わる幾つかのミーティングに出席するとともに、座長1件、発表1件を行ってきた。今回の大会は、21の講習会(3日間)と244のセッション(3日間)から構成されていた。セッションには一般公募とオーガナイズドセッションへの参加という二通りのルートがあるが、前者については73カ国から4606の応募があり、後者の発表とあわせて、全体で1476の発表と225のポスター発表が行われた。
大会委員長のミーティングでは、オーガナイズドセッションの質の向上が一つのテーマとなった(すなわち、いまだに質の低い発表が見受けられるという意味である)が、Stephanidisによると、年を追うごとに、その質は向上してきているということだった。ただ、一般公募についても同様だが、他学会のように、英語の質などを含めた評価基準を設定して、その評点の合計で採択、不採択を決めるのではなく、特に今後は「全体的な内容と質」による評価、つまり質的な評価を重視して行きたいということだった。印象評価ということは主観的評価ではあるが、数値に変換するにしても主観的印象の数値化であるわけだし、数値には反映しにくい「良さ」を評価したいという考え方でもあるわけで、これは一つのユニークな方向性と思われる。また、それとも関連して、特に大学院生を含めた若い研究者の発表を積極的に後押ししてゆきたいという考え方も示され、集まった大会長の大方の支持を得た。
この意味でも、特に日本の皆さんには、英語に自信がないからという理由で遠慮することなく、内容的に良い発表だと思うなら、どんどん積極的に一般公募やオーガナイズドセッションに発表していって欲しいと思ったし、またオーガナイザーは大学院生などの若い人たちを積極的に支援するようにしていただきたいとも思う。ともかくInternationalというタイトルどおり、HCI関係の学会では一番多くの国からの参加がある学会だし、規模も大きいため(何これ、と思うものが混じっていることは確かだが)面白い研究やいい研究に出会えるチャンスも多い。HCD-Netの会員諸氏も是非、来年のLos Angeles大会には前向きに参加していただきたいと思っている。
黒須 正明
HCD-Net理事長、放送大学