海外カンファレンス報告

こんにちは、HCD-Net理事の長谷川です。

 

今回は、10月にスウェーデンのストックホルムで開催された、Service Design Global Conference 2014をご紹介します。

 

Service Design Global Conference(以下SDGC)は、サービスデザインについてのグローバル組織であるService Design Network(以下SDN、http://service-design-network.org/)が主催し開催している、サービスデザインについてのカンファレンスです。いわゆる学会とは異なり、各国支部からの推薦に基づき、プログラムコミッティーが編成したプログラムが提供されます。

 

カンファレンスは、2日間のメインカンファレンス+メンバーズデイという構成で、今年の全体テーマは「Creating Value for Quality of Life」。カンファレンスは、参加者全員で受ける基調講演と、並列して開催されるワークショップといった内容で構成されます。

 

プログラム内容は、単に時流のトピックを追っているだけでなく、全体テーマとなっている、いかにクオリティオブライフを作るか、をふまえた内容となっており、プログラム間のつながりがしっかり感じられるものでした。このあたりは、日本を含む他のカンファレンスに比べて、大変完成度が高いと感じました。

 

カンファレンス全体を方向付けるオープニングの基調講演は、AirbnbのGlobal Head of Employee Experience(従業員経験グローバル統括)を担当しているMark Levy氏による、Airbnbにおける働く人々についての講演でした。Airbnbの新しいビジネスはそれはそれでサービスデザインのお手本のようなものですが、ここでの話はそこに留まらず、Airbnbがサービス利用者と社員とを連続的にとらえており、さらに社員の「経験(Experience)」がどうあるべきか、という視点でのマネジメントを行っている、という内容でした。

 

サービスデザインの分野では、方法論は一通り普及しており、いま話題に上ることは、「どういった組織としてそれを実現しているか」がメインテーマです。昨年のSDGCのカンファレンステーマも「Transformation(変化)」でした。今年はそれを一歩進めて、どういった組織でそれを実現しているか、まで踏み込んでおり、昨年ともリンクした内容でした。

 

カンファレンス内容は、全てビデオにて公開予定ですので、興味を持たれた方は、SDGCのサイトを参照ください:

http://conferences.service-design-network.org/sdgc14/

 

SDGCの参加者は年々増え続けており、今年は600人オーバーとなりました。3年前のサンフランシスコ、一昨年のパリ、昨年のUK カーディフ、そして今年のストックホルムと、年を追うごとに着実にカンファレンスの内容の充実度も上がってきています。それというのも、今年は開催地こそスウェーデンですが、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーの北欧4都市の地方支部(Local Chapter)合同での主催ということで、サービスデザインにおいては定評のある、北欧の企画力が見せつけられた印象でした。

 

私、長谷川が代表を務める、Service Design Network 日本支部(Japan Chapter)では、11月17日にSDGC14の報告会を兼ねるイベント、Service Design initiativeを開催予定です。詳しくは、下記のFacebookページを参照ください。

https://www.facebook.com/SDNJapanChapter

 

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長谷川敦士, Ph.D.

HCD-Net 理事、コンセント 代表/インフォメーションアーキテクト


HCD-Net で人間中心設計を研究する

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、HCDやユーザビリティに関する学際的な知識を集め、それらを研究する方々への指導的役割を果たすべく活動しています。

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