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日本感性工学会が主催するISASE(International Society of Affective Science and Engineering)の第一回大会が、都内新宿の工学院大学で開催され参加してきた。
Societyとなっているが、まだ学会組織としては編成されていないようで、国際会議の主催がその活動の主たる場、ということのようだ。今回は2日間の会期のうち、都合で二日目の午後しか参加できなかったので、オープニングでどのような説明があったのかは分からないが、少なくともWebでは、次回が2016(毎年)なのか2017(隔年)なのか、開催地がどこなのかは分からない。
日本感性工学会が主催する国際会議には、既にKEER(Kansei Engineering and Emotion Research)があり、隔年で開催されている(次回は2016年にイギリスのLeeds大学で)。外部の人間には、一つの学会が複数の国際会議を主催するということにはあまりなじみがないが、この状況の背景には感性工学を巡る考え方の違いがあるようだ。つまり、KEERがKansei Engineering(感性工学)というキーワードを掲げているのに対して、ISASEはAffective Science and Engineering(感情科学と工学)というキーワードになっている。感性についてはSensibilityという単語が充てられることもあったが、その考え方はいまだにローカルなものに留まっている。
流れてきた情報によると、Kanseiという日本語は、なかなか諸外国から理解を得ることが難しく、特に韓国あたりではKansei以外の表現が求められていた、という事情があったようだ。たしかに日本における感性という言葉の使い方には、「感性は日本固有のものである」といったニュアンスが込められていたりするが、そうだとすると国際的に通用する概念になることは難しいだろう。
感性的な表現や印象は、文化圏を問わずに存在しているのだから、感性というのは日本に関して話をするときには使ってもいいが、たとえば中国における感性、スウェーデンにおける感性、というように使うと話がややこしくなる。ただ、2016年のKEERは既に開催地も決定しているので、そうした語釈について、どのように参加者が折り合いをつけているのかには注目したいと思う。
大会のプログラムを見たり、一部の発表を見聞きしたりした範囲では、発表されている内容はほぼKEERや日本感性工学会の大会と同じようなものだった。ただKEERと比較すると、まだ宣伝が行き渡っていないためか、諸外国からの参加者は少なかった。
私見では、日本国内では「感性工学」といい、英語では「Affective Science and Engineering」もしくは「Sensibility Engineering」というあたりが落ち着き所のような印象である。