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3/26(金)にオンラインにて、HCD-Net東海支部で初めてのフォーラムである「HCD-Net東海支部 ミニフォーラム」を開催しました。
参加者は当初の予定100人を大幅に超える154名となりました。
発表者はプリンターやミシン、工作機械のメーカーであるブラザー工業株式会社の加藤さんと車載ソフトウェア開発会社である株式会社デンソークリエイトの伊藤さんの2名です。
今回は工作機械の開発や特定企業グループ向けソフトウェアの開発というあまり表に出てこない案件であるBtoBを対象とするUXデザインについての発表をしていただきました。
一人目の加藤さんは「実施経験の少ない領域でのリサーチ実施に向けての工夫」というお題で発表していただきました。
「BtoBでUXデザインを行う」とは、BtoCで行うUXデザインとは何が異なるかが気になるかと思います。
加藤さんの発表では、BtoBでのUXデザインのプロセスはBtoCにて行うプロセスと変わりはないけれど、リサーチを行う際にリサーチャーとして知らない分野にいかにリサーチをしていくか、また、絶対的なユーザ数が限られるなかで、ユーザー数を確保するにはどうするかを中心としてリサーチの方法検討とその結果はどうであったか、という話を発表いただきました。
リサーチはUXデザインにおいて早い段階のプロセスであり、重要なプロセスでもあるので、そのプロセスをいかに工夫して、より良い結果を得ていったかを学ぶことができました。
二人目の伊藤さんは「ユーザインターフェースの効率性に関する客観的な表か手法の導入」というお題で発表いただきました。
「「BtoBでUXデザインを行う」とは、BtoCで行うUXデザインとは何が異なるかが気になる」という問いに対して、一人目の加藤さんの発表では評価をどのようにしていくかを発表いただきました。
それに対して伊藤さんは、BtoBでは、日々何時間も同じソフトウェアが使われることが多く、UIの効率性が非常に重要になってくること、エンジニア兼UXデザイナーとしてソフトウェア開発を行う際に、UIの効率性向上を行うにあたり定性的になりがちなUXデザインを数値を扱うのに長けたエンジニアらしく定量的に判断できるようにした際の検討内容やその結果を順に説明いただきました。
エンジニアとしてUXデザインで導き出した案を同僚や上司を説得するための数値として導くにはどうしていけばいいのかを学ぶことができました。
BtoBではBtoCとは異なるアプローチが必要と考えられがちですが、お二人の発表を聞いたところ、アプローチ方法は同じだと感じました。しかし、ながらBtoBでUXデザインをする際には、BtoBならではの注意ポイントがあり、その点に関して工夫した方がいい事に気づくことができました。
21年度もUXデザインを学ぶエンジニアを中心とした受講者の期待に答えられるようにセミナーを企画していきたいと思います。
概要
HCD-Net東海支部主催の第3弾のイベントとして、BtoBを対象にUXデザインを実践されているお二人から、BtoBならではの観点をもとにUXデザインを実行する際のプロセスやつまづいた点などを中心に発表をしていただきます。
BtoCに比べてBtoBは対象とするユーザ数が限られるため、リサーチやデータ集めに苦労されている方が多いと思いますので、今回の発表をお聞きいただき、みなさんに新たな気づきが得られると思います。
■日時:2021年3月26日(金)19:00~20:30 (受付開始:18:50~)
■会場:オンライン(Zoom) ※ミーティングのURLは前日までにお送りします。
■主催:特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構 東海支部
■定員:100名
■参加費:
正会員・賛助会員・学生:無料
一般:500円
プログラム
18:50~19:00 受付
19:00~19:10 オープニング
19:10~19:35 発表①
「実施経験の少ない領域でのリサーチに向けての工夫~BtoB領域における定性調査と定量調査事例をふまえて~」(加藤 公一氏)
19:35~19:45 Q&A
19:45~20:10 発表②
「ユーザーインターフェースにおける"操作の効率性"の定量的評価手法」(伊藤善博氏)
20:10~20:20 Q&A
20:20~20:30 クロージング
発表内容詳細
発表①「実施経験の少ない領域でのリサーチに向けての工夫~BtoB領域における定性調査と定量調査事例をふまえて~」
ブラザー工業株式会社 開発センター 総合デザイン部 加藤 公一氏
概要:工作機械領域に対して定性と定量リサーチを実施して現状の課題を抽出し、その結果を活かしてデザイン施策を実施しました。工作機械領域でのリサーチは今までの経験の少なかったため、十分な結果を伴うリサーチができるかどうかいくつかの課題がありましたが、様々な工夫をし双方のリサーチとも結果を出すことができました。
今回はその課題をどう乗り越えたのか、リサーチ実施に向けてどんな工夫を実施したのかをメインにお話させていただきます。皆さんがリサーチ実施する上でのヒントになれば幸いです。
発表②「ユーザーインターフェースにおける"操作の効率性"の定量的評価手法」
株式会社デンソークリエイト デンソークリエイト イオタ推進部 伊藤善博氏
概要:PC上のアプリケーションやWebサイトで使いやすい、操作しやすい、そう感じたUI(ユーザーインターフェース)はないでしょうか。そして、その時にそう感じた理由を考えたことはあるでしょうか。ご自身が考えた(デザインした)UIが、使いやすい、操作性が良い、なぜそう言えるのかを誰もが納得する形でお話ししたことはあるでしょうか。
私はエンジニアですがUIデザインも兼務することが多い中、ユーザー像やストーリーで何らかの理由を付けて、ユーザビリティ(主に操作のしやすさ)をステークホルダーに説明してきました。しかしながら、いまいちその決め手に欠けることあり、採用されないことも多々ありました。自分ではこれが一番・・・そう思っているのですが、どうしても感覚的に捉えられ、他者には納得性が薄れてしまいます。しかしながら、これが定量的に示されるとどうでしょうか。なるほど感、納得度も上がり採用率も上がります。
本編では、手軽にユーザビリティ(操作の効率性)を定量的に評価する手法を、実際の市販アプリケーションを題材に紹介します。特に"なぜ使いやすいのか、操作しやすいのか"を説明しきれないエンジニアの方にお勧めです。