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HCD-Netフォーラム2021:
Beyond Design ~SDGs達成に向けた共創と社会実装~
開催レポート2日目【11月26日(金)】
11月26、27日の2日間のHCD-Netフォーラムは、機構外への発信、機構外とのコラボレーションを主眼として開催し、広報活動にも力を入れました。
その甲斐あっては、やはりオンライン開催であった昨年度よりも参加者を増やすことができました。
その一環として、9月1日にデジタル庁が発足したことを受け、デジタル庁の方々をお招きした講演、セッションを複数設けました。
その他にも、HCDの実践者だけではなく、様々な領域のゲストをお迎えしたセッションを設け、2030年に向けた「行動の10年」に、一人ひとりが感じ、考え、繋がり、行動するきっかけとなる貴重な機会となりました。
■11月26日 開会式・オープニングセッション「『Beyond Design』に込めた思い」 ----------
HCD-Net篠原理事長の司会によるオープニングセッションでは、フォーラム2021の「Beyond Design」というテーマに込められた想いを、今年はじめてフォーラム実行委員に手を挙げてくださった皆さんに語っていただきました。私たちが向き合う課題は年々複雑になり、ユーザーだけでなく、使わない人も、さらには人だけではなく法律や倫理など様々なことに気を配る必要が出てきている中で、常に"人間中心"の視点は持ちつつも、beyondじゃなくて、時にはbehindでもいい課題もある・・・という、まさに現場で様々なステークホルダーを巻き込みながら活動する委員の取り組み方が伝わってくるディスカッションになりました。
■登壇者
篠原 稔和(理事長/ソシオメディア株式会社)
フォーラム実行委員 5名(敬称略、五十音順)
小野 浩太(フリーランス)
酒井 啓江(NTTデータフロンティア)
陳 欣蕾(NTTテクノクロス)
橋本 昇平(株式会社モーニングスター)
三木 陽介(株式会社TKC)
■11月26日 基調講演 ----------
※ それぞれの基調講演においては、グラフィックレコーディングを導入しました。
※ 常葉大学 造形学部 安武伸朗教授のご協力を賜り、常葉大学の学生(下山絢香氏、渡邊聡美氏)によって、レコーディングが実施されました。
※ 以下に貼付されているグラフィックレコーディング画像は、ダウンロードしていただいて構いませんが、表示された条件の範囲内での利用が可能です。
※ グラフィックレコーディング画像をダウンロードする場合、通常の、画像を右クリックして「名前を付けて画像を保存」を選択しておこなってください(文言はブラウザによって違います)。
馬田 隆明氏『未来を実装する ~テクノロジーの社会実装について~』
近年、Facebook、Google、Appleなどデジタルプラットフォーム企業の社会への影響が増えつつあり、MaaSやFinTechのようなデジタル技術×業界も次々に生まれてきました。このように、ソフトウェアが規制領域にチャレンジすると同時に、ソフトウェアが規制を受けるようにもなってきました。規制と政策は、まさにテクノロジーの社会実装において大事なポイントとなります。
この講演では、書籍「未来を実装する」の著者である馬田氏から、社会実装のための五つの要素:デマンド、インパクト、リスクと理論、ガバナンス、センスメイキングについて、その考え方と具体的な方法論を体系的にお話いただきました。また、HCDの専門家がそれらの知識を理解することによって、より良いユーザー体験の構築ができるだけではなく、テクノロジーを活かして社会をアップデートすることにもつながると示唆いただきました。
<グラフィックレコーディング>
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
井坂 智博氏『SDGs時代のイノベーション手法「インクルーシブデザイン&デザイン思考」 〜フォアキャストとバックキャスト〜』 ----------
企業を評価する「メガネ」があるとしたら・・・
これまでは「売上」「利益」「シェア」「規模」といったものが大事な要素だったが、これからは「持続性」「多様性」「社会課題の解決」「環境と経済の両⽴」が重要になってきていると井坂氏。
そういった時代では、目の前の問題を解決する「フォアキャスト思考」と未来の問題を発見しそれに向けて解決を考える「バックキャスト思考」の両軸の事業デザインが益々必要になってくるという事を具体的な企業事例を用い、わかりやすく解説して頂きました。また社会課題解決型イノベーション手法として「デザイン思考」と「インクルーシブデザイン」が優位性・持続性の⾼い事業開発する上で有効な手段だと熱く語って頂きました。
<グラフィックレコーディング>
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
広野 萌氏『氾濫するデザイン』 ----------
物語の力で「デザイン」の壁を超える
「デザイン」にまつわる業種の壁を超え、デザイナーの一同に集う場を作り上げてきた広野氏。デザインが注目されるに至る変遷とその未来の可能性、デザインという言葉の意味と対象の広がりをグラフィカルに直感的にスマートに表現しつつも、デザインはプロダクト・デジタル・グラフィックに関わる三者が睨み合うのではなく、一つのユーザに届く良いものを作ればいいんだ!というアツいメッセージを視聴者に届けてくださいました。
また、「越境人材」や「高度デザイン人材」といった呪詛のようなワードに対して、誰しもが抱く”どうやっていいのかわからない、どのように浸透させればいいのかわからない”に応えるプログラムのご案内もいただきました。
<グラフィックレコーディング>
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
■11月26日 特別セッション:HCD-Net事業部等 活動報告 ----------
HCD-Net事業部等 活動報告でははじめに篠原理事長から、今やHCD-Netが国内のデザイン関連団体の中で業界2位の会員数をもつこと、これからも業界随一の存在を目指すこという抱負など、HCD-Net全体の紹介がありました。引き続いて、下記の事業部やWGの活動について、各事業部の委員から紹介がありました。興味をもった参加者からSlackで参加したいなどの声が上がるなどの盛り上がりも見せました。
・広報社会化事業部(飯塚理事)
・教育事業部(和井田理事)
・東海支部(加藤理事)
・研究事業部(飯尾理事)
・ビジネス支援事業部(山口理事)
・関西支部(水本副理事長)
・HCD専門資格認定センター(羽山理事)
・Web-WG(羽山理事)
■11月26日 学術奨励賞 表彰式 ----------
【学術奨励賞】
小さな現場のためのデザインプロセスモデル ―カタチ・価値・動機の3視点から―
有限会社リンク・コミュニティデザイン研究所/成安造形大学 由井真波
有限会社リンク・コミュニデザイン研究所 小野文子
■11月26日 HCD-Net AWARD2021表彰式 ----------
今年は惜しくも優秀賞はでなかったものの、最終審査ノミネートされた以下2件について、審査結果の講評がありました。
1.昆虫採集をメタファーにした「UI・UXの本質」を理解する授業設計
NEC 小野村隆男氏、熊崎純一氏
2.BtoBtoCサービスのための行動応援ステップ 【Cheer(チア)モデル】
株式会社エムティーアイ 堀口麻奈氏、横橋薫氏
※最終審査ノミネート作につきましては、HCD-Net AWARD 2021 ノミネート作品をご覧ください。
■11月26日 交流会 ----------
1日目のプログラム終了後、登壇された講師の方とフォーラム参加者とでオンライン交流会を開催しました。
ブレイクアウトルームで5,6人のグループに分かれて行われたこの会では、お互いの近さを感じられるニューノーマルらしい交流会となりました。それぞれ立場や背景が違う方々の間で、HCDを通じ、意見交換やコミュニケーションが活発に行われました。
最後にブレイクアウトルームから戻られた際には、皆さん、笑顔で、“時間が少ない~”との声が多数挙がっており、とても楽しい時間であったことが伺えました。
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【レポート作成】 HCD-Netフォーラム2021実行委員 ※五十音順
飯塚 重善、入江 眞、小野 浩太、黒田 由加、河野 泉、酒井 啓江、田村 浩二、陳 欣蕾、橋本 昇平、藤井 勉、益成 宏樹、三木 陽介、山口 恒久
HCD-Netフォーラム2021開催レポート【2日目:11月 27日(土)】へ続きます。