セミナー・サロン

2024年12月に「エキスパートレビュー~ユーザビリティの専門知識に基づく評価を学ぶ~」の解説編と演習編のセミナーを開催しました。
本セミナーは、11月に開催されたHCDコンピタンス知識編「専門知識による評価・概論」の内容を踏まえ、評価に活用できる「原則」についての解説と実例を用いた演習を通して理解を深めることを目的としています。
概論編、解説編、演習編すべて伊藤さんに講師をしていただきました。


12月10日に開催された「解説編」セミナーでは、HCDのコンピタンスマップ「A1.調査・評価設計能力」及び「A13.専門知識に基づく評価実施能力」に対応し、エキスパートレビューに活用できる「インタラクションの原則(JIS Z8520:2022)」及び「情報掲示の原則(JIS Z8522:2022)」の2つの原則について解説を行いました。
各原則のそれぞれの項目における推奨事項や、UX観点、ユーザビリティ観点との対応、さらに、具体的な事例の中で、良い事例と悪い事例を挙げながら考え方や評価する際のポイントなどをわかりやすく解説していただきました。
12月21日に開催された「演習編」セミナーでは、既存のWebサービスを対象に、この演習用に設定されたペルソナを用いて、グループごとに分かれてエキスパートレビューを実践しました。
グループでのワークは、それぞれのグループを担当するテーブルファシリテーターからのアドバイスを受けながら、ワークの役割分担、個人ごとのエキスパートレビューの実施、グループ内で問題点の共有、分類及び重要度付け、主要な問題の選出とその問題点シート作成と進めました。


最後は、各グループで議論してまとめた問題点と重要度の判断結果、作成した問題シートの内容を発表し、その発表について講師の伊藤さんから、「要因が重複する場合」「重要度の判定の考え方」「改善提案について」など、丁寧なフィードバックをいただきました。

セミナーの最後には、受講者から、判断に悩んだ問題と原則との対応、重要度をどのように判断するか、また、問題点チェックの網羅性と時間がかかることへの懸念など、様々な質問があり、一つ一つについて分かりやすく回答をいただくことで、より深い理解につながったと思います。
本セミナーで原則の解説から演習の実施を通して学んだことを活かして、今後の受講者各自のエキスパートレビューの実践に繋げていただければと思います。

HCD-Netでは、HCDの専門家であれば知っておくべき基礎知識の講座を開催しています。
今年度は、他では学習機会が少ない「専門知識に基づく評価」にフォーカスした座学と演習をオンラインで実施します。
本講座は2023年度開講の内容をアップデートしたものになります。

・基本知識:HCDコンピタンス知識編「専門知識に基づく評価」(11/19開催)
・評価の演習:本講座 (12/10, 12/21開催)

ユーザビリティ評価の中でもユーザビリティ・インスペクションといわれる分野で、人の認知や身体のしくみの知識や、経験則に基づいて、仕様の改善すべき点を見つけていく手法です。評価手法ではありますが、裏返せば設計の時のガイドラインとなります。
本講座では、エキスパートレビューについて、演習形式で学びます。ユーザビリティの専門家が、人間特性など様々な知識や経験に基づき、対象のユーザーの行動を想定しながら評価を行う方法です。

この演習では、専門知識のよりどころとして「JIS Z8520:インタラクションの原則」 「JIS Z8522:情報表示の原則」を援用します。講座は「原則」の解説と演習に分けて実施しますが、2つ併せてセットの講座となりますので、よろしくお願いします。

■開催日時:
「原則」解説編:2024年12月10日(火)19:00~21:00(18:50より入室可)
演習編:2024年12月21日(土)13:30~18:00(13:20より入室可)

■開催方法:Zoomによるオンライン開催
*解説編は見逃し配信あり。演習編は録画配信無し。

■定員:30名(先着順)

■参加費:
HCD-Net正会員・賛助会員:12,000円
HCD-Net学生会員:6,000円
一般:24,000円
一般学生:15,000円

■プログラム:
「原則」解説編
・エキスパートレビューについて
・評価に使う場合の「JIS Z8520:インタラクションの原則」「JIS Z8522:情報表示の原則」について
・振り返り・質疑

演習編
・エキスパートレビュー実施方法について
・エキスパートレビュー演習
個人ワーク
グループディスカッション
・振り返り・質疑

■参加条件・環境等について:
・演習の中でグループディスカッションがあります。実名/ビジネスネームでの参加をお願いします。また、ディスカッションを円滑にすすめるため、なるべくマイクとカメラをONにできる環境からのアクセスをお願いします。
・講義と演習にはオンラインツールのzoomとmiroを使います。利用できる環境からのアクセスをお願いします。
・グループディスカッションはブレイクアウトルームで実施します。他者を尊重し、積極的な参加・発言をお願いします。
・ネットワークビジネス、マルチ商法、宗教による勧誘、政治的活動は禁止させていただいております。また、その他、ハラスメント等、他の参加者に迷惑をかけたり、不快にさせる行為は禁止いたします。
・なにかお困りごとや問題と思えることがありましたら、速やかに運営者にお知らせください。(peatix「主催者へ連絡」、zoomイベント中は運営メンバー宛チャット等)

■講師:
伊藤 泰久氏(株式会社DNTI、認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ )
2000年より製品やサービスのユーザビリティ・UXの評価、企画および開発支援に携わる。
2024年よりNPOのインパクト・オフィサーとして社会的インパクト評価&マネジメントを担当。
HCD-Netでは、初心者セミナーやエキスパートレビューのセミナー講師を歴任。
HCD-Net認定 人間中心設計専門家、日本評価学会認定 評価士。

■対象者:
・これからHCD専門家・HCDスペシャリストになりたい人
・すでにHCD専門家・HCDスペシャリストで、守備範囲を広げたい人・学び直しをしたい人

*HCDに関してある程度知識のある方が対象です。
インスペクション法に関して初心者の方は併せて下記講座を受講ください。
2024年11月19日(火)19:00~21:00
HCDコンピタンス知識編「専門知識に基づく評価」講師:伊藤泰久氏
https://hcdnet-inspection2024-1.peatix.com/

■対象コンピタンス:  
A1: 調査・評価設計能力
A13: 専門知識に基づく評価実施能力
人間中心設計(HCD)コンピタンスマップ 2023年版(HCD-Net)
https://drive.google.com/file/d/1evp7N-aHNXCsv4udnTYzSEs0dWuyWu8S/view?usp=sharing

■参考:  
HCDライブラリー『人間中心設計の基礎』黒須、近代科学社、2013
HCDライブラリー『人間中心設計における評価』黒須他、近代科学社、2019
JIS Z8520:2022 「人間工学―人とシステムとのインタラクション―インタラクションの原則」


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HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。