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ユーザビリティ評価デイとして、定性的・定量的、それぞれのユーザビリティ評価手法を学べる一日となりました。
定性的なユーザビリティ評価手法については、伊藤氏によるエキスパートレビューのセミナーでした。
ユーザビリティ評価の歴史から、さまざまな手法の体系的な説明までお話しいただき、参加者のみなさんはユーザビリティ評価について整理できたのではないでしょうか?
特に網をユーザビリティ評価手法、魚をユーザビリティ上の問題点に例えて、さまざまな網で魚を捕まえるんだという説明はとても分かりやすいものでした。
実際にエキスパートレビューの体験もでき、自分の会社でも使えそうだという手ごたえを掴んだ参加者も多かったのではないでしょうか。つまり、網を手に入れたということなので、あとは社内で魚を捕まえていただければと思います。
定量的なユーザビリティ評価手法については、鱗原氏によるNEMセミナーです。手法の開発者自身から学ぶことができるという大変貴重な機会となりました。メンタルモデルのギャップを測ることを目指してNEMが開発された話は、みなさんなるほどと頷いておられました。その後、世界中で活用されている事例紹介などもあり、NEMのすべてを知ることができました。
何を置いてもワークショップを通じて、ユーザビリティを定量化できることの素晴らしさを学べたのは、参加者のみなさんにとってプラスになったと思います。その上で、NEMの限界と課題、NEM2.0をはじめとする課題解決への取り組みのお話しがあり、参加者のみなさんも、なんとかしたいという想いが芽生えたのではないかと思います。
社内で報告する際に、こういった定性的手法と定量的手法の結果を組み合わせれば、説得力が3倍にも4倍にもなります。ぜひ、両手法とも実践いただき、よりより応用方法を見つけた場合は情報共有し、みなさんでレベルを上げていきましょう!情報共有(発表)できる場も提供していきたいと思います。
また、参加者のみなさんの様子を見ていると、しっかりとユーザビリティ手法を学べる場は重要だと感じました。これからも定期的に「ユーザビリティ評価デイ」を設けたいと思います。
二つのセミナーに参加された方、長時間お疲れ様でした。
そして、KiZuKi LABOという素晴らしい場所を提供いただきました株式会社岡村製作所様、ありがとうございました。
イベント概要
関西ユーザビリティ評価デーとして、終日でユーザビリティ評価の手法を学んでいただける日を設けました。実践的なセミナーを二つ連続して開催しますので参加をご検討ください。
一つ目のセミナーは、専門家による評価手法の代表として「エキスパートレビュー」を中心に学びます。今回のセミナーでは、実践的な方法、ワークフロー、評価実施上の注意点について座学で学び、それを基にエキスパートレビューのミニワークショップを行い、問題抽出・整理選別・改善案の策定までの流れを体験します。講師はHCD-Net認定人間中心設計専門家としてユーザビリティ評価に造詣の深い伊藤泰久氏です。
二つ目のセミナーは、プロトタイプ評価手法として人気のある「NEM(Novice Expert ratio Method)」について、NEMの開発者であり第一人者であるU'eyes Design代表取締役としても著名な鱗原晴彦氏にお越しいただき、みなさまにNEMの基礎からご説明いただきます。開発者より直接NEMを学べる機会は関東・関西を問わずほとんどありません。大変貴重な機会ですのでお見逃しなく。
■日時:10月25日(火)
エキスパートレビュー・セミナー:13:00~15:30 (受付:12:30~13:00)
NEMセミナー:16:00~18:30 (受付:15:30~16:00)
交流会:19:00~20:30
■会場:グランフロント大阪タワーA21階 株式会社岡村製作所内 KiZuKi LABO
http://www.okamura.co.jp/company/topics/exhibition/2014/osakasr.php
■定員:各セミナー50名(先着順)
■参加費:
エキスパートレビュー・セミナー:正会員・賛助会員:3,000円 、一般:4,000円 、学生:1,000円
NEMセミナー:正会員・賛助会員:3,000円 、一般:4,000円 、学生:1,000円
両方に参加:正会員・賛助会員:5,000円 、一般:7,000円 、学生:1,000円
交流会(希望者のみ):どなたも4,000円
プログラム
エキスパートレビュー・セミナー
13:00~13:05 オープニング
13:05~14:35 講義
14:35~14:45 休憩
14:45~15:15 ミニワークショップ
15:15~15:30 プレゼンテーション
■講師:伊藤 泰久氏 (オムロン パーソネル株式会社)
■セミナー概要:
ユーザビリティ評価の代表的な方法として、ユーザビリティテストと、専門家による評価方法であるインスペクション法があげられます。インスペクション法には、エキスパートレビューやヒューリスティック評価法、sHEM(構造化ヒューリスティック評価法)などの手法が含まれます。ユーザビリティテストについては、セミナー等の開催も多くなり、多くの企業において導入が進んでいると想定されます。一方、インスペクション法については、概要は知られているものの、数ある評価手法の選択や、具体的な評価の手続き、評価方法、結果のまとめ方、教育の方法等については、あまり知られていないのではないでしょうか。
今回の評価セミナーでは、エキスパートレビュー、ヒューリスティック評価法、sHEM、ペルソナを使ったエキスパートレビューの実践的な方法、ワークフロー、評価実施上の注意点についての講義をし、エキスパートレビューのミニワークショップを行い、問題抽出・整理選別・改善案の策定までの流れを体験します。
■コンピタンス:
本セミナーは、以下のHCD基本コンピタンスに関係する内容となります。
A1. 調査・評価設計能力
A13. 専門知識に基づく評価実施能力
NEMセミナー
16:00~16:30 定量的ユーザビリティ評価手法 NEMとは
16:30~17:00 NEMによる評価事例の紹介
17:00~18:00 NEMの測定、分析体験
18:00~18:30 NEM2.0による分析の体験
・第13回WOCS(※1)における「13thWOCS2賞」受賞講演の紹介
「つながるシステムにおける利用時の品質向上にむけた品質要求事項定量化の提案」
※1 WOCS(Workshop of Critical Software) クリティカルソフトウェアワークショップ
共催:JAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)/IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) WOCSは、主に宇宙・航空、医療、鉄道、自動車などで稼働するソフトウェアの開発・運用・保守に関する技術やプロセスをテーマとしたワークショップ。第13回(2016年)は、「つながるクリティカルシステム」がサブテーマとなっておりシステムの信頼性や安全性、それらの計測、指標に関する講演が行われた。 https://www.ipa.go.jp/sec/events/20160119.html
■講師:鱗原 晴彦氏 (株式会社U'eyes Design)
■セミナー概要:
これからの売れる商品開発にはデザイン思考(Design Thinking)への取り組みが欠かせない時代となりました。デザイン思考実践の第一段階である「プロトタイプを試作して評価する」についてはNEM:Novice Expert ratio Methodを活用が有効です。これを活用すれば、ターゲット顧客のニーズとの意識モデルギャップが抽出できるため、売れない製品・サービスを開発し続けるリスクの減少、受容度を高めるための改善が可能となります。さらにはIoT(Internet of Things)により様々な機器や人の振る舞いが繋がる世界が実現します。その世界を支える技術革新や、新しいサービスを提供する際に、作り手と使い手の間に必ず生じる意識のギャップを埋める効果があります。本ワークショップでは、NEMの仕組みを基礎から学び、具体的にギャップの数値化を体験します。また、IoT時代に引き起こされる様々な意識のギャップをどのように抑制していくべきか、皆さんとディスカッションできる時間を持ちたいと考えます。なお、この機会にNEM2.0のご紹介の機会ともさせて頂きます。ご期待ください。
■コンピタンス:
本セミナーは、以下のHCD基本コンピタンスに関係する内容となります。
A1. 調査・評価設計能力
A3. 定性・定量データの分析能力
A12. ユーザーによる評価実施能力
交流会
19:00~20:30
とても素敵な環境である岡村製作所様のショウルームで交流会を開催します。両講師とも参加されますので、セミナーの内容についてのディスカッションも可能です。ぜひご参加ください。